エスカレーターで「片側をあける人」が知らない不都合な事実写真はイメージです Photo:PIXTA

エスカレーターで片側をあけるべきか否か

 さあ新年である。今年もよろしくお願いします。

 さて、最初に話題にしたいというか、今年こそ解決したいなと思うのが、エスカレーターの片側あけ問題である。

 エスカレーターの「片側あけ問題」――関東では右を空け、関西では左を空ける。この奇妙な地域差を持つ習慣は、どうやら1980年代の関西が発祥らしい。

 定着したのは1960年代後半、阪急電鉄の梅田駅などで「急ぐ人のために左側を空けましょう」というアナウンスが行われたのがきっかけだといわれている(ただし諸説あり)。

 当時、都市の地下鉄やターミナルでは混雑が深刻化し、「急ぐ人に通路を譲る」ことがマナーとして歓迎された。結果、社会的同調が一気に広まり、東京でも「右空け」が定着した。今では「常識」として内面化され、意識的に学んだ覚えがない人までが、自然に片側をあけて立つようになっている。

 しかしこの“善意の慣習”が、いまでは安全上の課題となっている。かつて「譲り合い」だった行為が、現代では危険行為に転じてしまったのだ。

片側あけ定着3つの理由

 この習慣が定着した理由は、主に3つあるのではないか。

 第一に、急ぐ人の気持ちがわかるという共感構造。誰もが一度は「時間に追われた経験」を持ち、「自分もあの立場なら」と感じる。その“想像上の自分”が、他人への譲歩を合理的に感じさせた。つまり、「思いやり」というより共感に基づく自己投影が動機になっていた。