
米グーグルと米アップルはいずれも胸をなで下ろしている。特にアップルは、大きな安堵(あんど)のため息をつくことができるかもしれない。
両社は2日、米政府がグーグルを相手取って起こした2件の反トラスト法(独占禁止法)違反を巡る訴訟の一つで大きな勝利を手にした。連邦地裁のアミット・P・メータ判事は、グーグルの事業分割や同社検索エンジンを巡るアップルへの対価支払い停止を求めた政府の要請を基本的に却下した。
こうした支払いは、アップルの端末でグーグルをデフォルトの検索エンジンとして維持する一方、アップルに貴重な収入源を提供してきた。その額は現在、年間200億ドル(約3兆円)を超えると伝えられている。
政府側は、こうした支払いが競争を阻害していると主張した。検索エンジン事業者の中でグーグルが払う金額に太刀打ちできるところはほとんどないからだ。だがメータ判事は、支払いを禁止すればグーグルがアップルの巨大なユーザー基盤に実質的に「ただ乗り」できることになり、かえってグーグルの立場が強化されると指摘した。
「従って、当面、グーグルはデフォルト設定の対価として配信業者に支払いを行うことが認められる」とメータ判事は記した。「システムを揺るがさず、市場の力に任せるべき強い理由がある」
2日の市場引け後の時間外取引でグーグルの親会社アルファベットの株価は急伸し、アップルの株価もそれよりも小幅ながら上昇した。調査会社モフェットネイサンソンのクレイグ・モフェット氏は「アップルは弾丸をかわしたのではなく、ミサイルをかわした」と述べた。
グーグルの200億ドルの支払いは、現在のアップルの年間売上高全体の5%に過ぎない。しかし、この収入源に関連する追加コストはほとんど発生しないため、純利益への貢献度ははるかに大きい。