高級ホテルに散財する米富裕層、客室料金は過去最高にPhoto:Kevin Carter/gettyimages

 米国経済の二極化が進むなか、宿泊業界にもその影響が現れており、高級ホテルの宿泊料金は過去最高水準に達している。

 米国を訪れる外国人観光客の減少やホワイトカラーの雇用低迷とは裏腹に、高級ホテルの客室料金は上昇している。米国の裕福な旅行者は、ここ数年の株価上昇と不動産価格高騰で増やした富を思うがままに宿泊費につぎ込んでいる。

 富裕層が旅行する場合、「基本的に『欲しい時に欲しい、そのためには金を惜しまない』という考え方で選ぶようだ」。データ会社コスターでホスピタリティー市場分析の米国責任者を務めるヤン・フライターク氏はこう述べた。

 コスターによると、米国の高級ホテル(ラグジュアリー)の平均客室料金は今年、1泊当たり394ドル(約6万円)と過去最高を記録した。次に高い価格帯(アッパーアップスケール)の平均客室料金よりも168ドル高い。両者の差は2008年に60ドルだったが、その後広がり続け、近年は急拡大して過去最大幅となっている。

 客室料金の上昇が、海辺の高級リゾートや山頂の高級宿、都市中心部の格式あるホテルへの需要を冷え込ませることはなかった。コスターによると、今年1~9月の高級ホテルの予約数は前年同期比2.5%増加した。これに対し、低価格帯から中級のホテルでは同期間の予約数が昨年をわずかに下回った。