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米国の経済界が「解雇の凍結」を終了した。
新型コロナウイルス禍後の数年間、企業は労働力の再構築を急いだ。その過程で得たシンプルな教訓は、「手に入れた労働者を手放すな。失ったら取り戻すのに苦労するから」というものだった。
しかし、ここ数カ月の間に労働市場が軟化し、企業にとって労働力の合理化を始めやすい環境となった。多くの企業がこの機会に飛びついている。アマゾン・ドット・コムや宅配・航空貨物大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、小売りチェーン大手ターゲット、メタ・プラットフォームズは最近、数万人の削減を発表した。
こうした変化は米国の労働者に大きな影響を及ぼす可能性がある。この2年間、米企業は新規採用にますます消極的になった。最近は関税の行方を巡る不透明感により先の計画が立てにくくなっていた。一方で、既に抱えている従業員の削減もためらっていた。こうした状況は経済学者が「人材の囲い込み」と呼ぶ現象の一つの例だ。
その結果、低雇用・低解雇の環境が出来上がった。労働市場に参入しようとする新卒者などは苦労し、既に雇われている労働者は大部分が守られてきた。
RSMのチーフエコノミスト、ジョセフ・ブルスエラス氏によると、今の状況は1990年代の状況にやや似てきている。当時は多くの大企業が、不要と感じた労働者の削減に注力していた。
当時「われわれは解雇を行う企業を高く評価したものだ」とブルスエラス氏は話した。







