美術館に行っても「きれい」「すごい」「ヤバい」という感想しか出てこない。でも、もっと美術を楽しめるようになりたい。そう思ったことはありませんか?
「こやぎ先生」としても活躍する、ご指名殺到の美術旅行添乗員・山上やすお氏の書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』から「マジですごい」超絶美術をご案内します。

【『国宝』にも登場!】シャガールの「オペラ座天井画」のすごさが「ぶっちゃけわからん」ので詳しい人に聞いてみた。Photo: Adobe Stock

色彩の魔術師の最高傑作! シャガールが描いた空飛ぶオペラ

――うわぁ~~~~! さすが内部もきれいですね~~!! 想像通りの「オペラ座」って感じです! そして、シャガールの天井画は…これか! うわぁ~~これもすっごい迫力!!

いい反応ですね~ここに来たかいがありましたよ(笑)。この絵のタイトルは「夢の花束」と言います。シャガールが7か月ほどを費やして完成させたと言われていて、完成時、彼はなんと77歳だったんですよ!

――ななじゅうななさい!? もうおじいちゃんじゃないですか(汗)。これほどまでの作品を描くのは大変だったでしょうね…。でも、初めてシャガールの作品を見ましたが、とっても色がきれいなんですね!

そうですよね! なんと言ってもシャガールは「色彩の魔術師」と呼ばれることもあるんですよ!

――「色彩の魔術師」!!!!………さすがにかっこよすぎませんか(汗)?

ま、まぁ本人が言ってるわけじゃないのでセーフとしましょう(汗)。でもそう呼ばれるほどに色鮮やかな作品を描くんですよ。特にこの作品は多くの色が使用されていて、その取り合わせがとっても美しくて…。「夢の花束」っていうタイトルも素敵でしょ?

――ほんとですね…見ているだけで幸せになれそうですよね☆ なんか、細々といろいろ描かれているものには意味があるんですか?

もちろんです! まず、このオペラ座はパリ市内のど真ん中に位置する、パリの顔とも呼べる存在です。よってここにはパリを代表する建築物がいくつも描かれているんですよ! 例えば青いエッフェル塔なんか見つけやすいんじゃないでしょうか?

――あ、ほんとだ! エッフェル塔はわかりますね! 他は…。

他にはこのオペラ座の外観も描かれていますし、コンコルド広場のオベリスク、凱旋門なんかも描かれているんですよ?

――なんか「ウォーリーをさがせ!」みたいで面白いかも(笑)。その周りでふわふわしている人とかにも意味があるんですか?

はは、「ふわふわしている」っていうのがシャガールをよく表現していますね(笑)。周りに描かれているのは、14のオペラの作品から題材を得たモチーフたちですよ!

――14! そんなにあるの…(汗)?

まぁシャンデリアに隠れている部分もあるのですべては確認しにくいんですが、例えば緑のエリアに抱き合う男女が描かれていますね。あれはシェークスピアの悲劇にベルリオーズが作曲した「ロミオとジュリエット」だそうです。青いエリアの笛を吹く赤い鳥モーツァルトの「魔笛」を表現しているようですね。

――は、はぁ…こりゃあ…時間かかりそうだわ(汗)。でも、とんでもない大作に出会えたオーラは感じますね! 一気にシャガールが大好きになりましたよ!

(本記事は『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』の一部を抜粋・編集し作成しました)