会社員が亡くなった後、「絶対すぐやるべき」3つの手続とは?
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

会社員が亡くなった後、「絶対すぐやるべき」3つの手続とは?Photo: Adobe Stock

会社員が亡くなったときに、家族が大急ぎですべきこと

 勤務先を通じて健康保険に加入していた方が亡くなった場合、まず必要となるのが健康保険の資格喪失手続です。亡くなった日から5日以内に勤務先へ連絡し、「健康保険被保険者資格喪失届」を提出してもらわなければなりません。

 これまでは、勤務先に「亡くなったことの連絡」とあわせて紙の健康保険証を返納する必要がありました。しかし、2025年以降は健康保険証がマイナ保険証に一本化されたため、マイナ保険証の返納は不要です。死亡届が自治体に提出されることで、マイナンバーカード自体が失効し、健康保険証としての利用も自動的に停止されます。

 ただし、勤務先での資格喪失手続はこれまでと同じように必要です。マイナ保険証の返納がなくなっただけで、勤務先への「亡くなった旨の連絡」は欠かせませんので注意してください。

 また、死亡届の提出は、原則として死亡後7日以内に市区町村に行う必要があります。葬儀社が代行してくれることもありますが、提出責任はご家族にあります。

国民健康保険への切り替えは自分で行う(14日以内!)

 亡くなった方の被扶養者として健康保険に加入していた方は、新たに国民健康保険に加入しなければなりません。国民健康保険への切り替え(加入)手続は、死亡した翌日から14日以内に、お住まいの市区町村に「国民健康保険関係届」を提出して行います。その際、次のものが必要になります。

会社員が亡くなった後、「絶対すぐやるべき」3つの手続とは?出典:ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】

手続に必要なもの

・健康保険資格喪失証明書(協会けんぽや健康保険組合または事業所が発行したもの)
・マイナンバーがわかるもの(なくても手続は可能です)
・印鑑

 郵送でも手続が可能です。ただし、窓口に比べると日数がかかります。窓口で手続を行い、運転免許証などで加入者本人と確認できる場合は、原則として、当日にマイナ保険証を受領できます。まとめると、会社員が亡くなったときに家族が大急ぎですべきことは、「健康保険の資格喪失届」「死亡届の提出」「被扶養者の国民健康保険への切り替え」の3つです。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・編集を行ったものです)