株価史上最高値更新という激動の一年が終わり、丙午の2026年がやってくる。
どうすれば、投資で成功できるのか? そこで今回は、『お金の大学』の両学長が推薦するベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』と、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏に緊急インタビューを敢行した。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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著者にとって「最も重要な図表」とは?
――『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』には33の図表データがあります。ニックさんにとって最も重要な図表はどれですか?
ニック・マジューリ(以下、ニック) 本書の第1部・第1章にある図表4「富の階段で支出が変わる」です。

この“階段”のように見える図は、富が増えるにつれ、特定の支出項目の重要度が下がっていくことを示したものです。
とてもシンプルなのですが、本書の核となる原理をわかりやすく示していると思います。
「富が増えると、こういう支出はあまり気にしなくてよくなるのだ」と、多くの人が一目で理解することができるからです。
実際、アメリカの読者からも「あの図はとてもわかりやすい」という感想がよく届きます。
『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』を執筆中だったときも、知人から「あの図はすごくいいね」と言われ、「じゃあ、本にも必ず入れるよ」と伝えたほどです。
それくらい人気のある図で、最初につくった図でもあったので、私自身、特別な思い入れがあります。
日本人にとって「最も重要な図表」とは?
ニック・マジューリ(Nick Maggiulli)Ritholtz Wealth Management社の最高執行責任者兼データサイエンティスト
同社の業務全体を監督し、ビジネスインテリジェンスの観点から有益な分析を行っている。ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBC、ロサンゼルス・タイムズなどに記事を寄稿。緻密なデータに基づくパーソナルファイナンス関連の人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆。スタンフォード大学卒(経済学学位)。ニューヨーク市在住。著書に日本で20万部(全世界46万部)を突破した『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』(ダイヤモンド社)がある。
――日本人とアメリカ人では考え方が違う部分もあります。今後資産を増やしたい日本人読者にとって最も重要な図表データはどれですか?
ニック 第1部・第3章に、「各資産レベルの人々がどのような資産を持っているか」を示した図表8~14があります。
これは横軸がレベル1(資産1万ドル未満)からレベル6(資産1億ドル以上)、縦軸が資産割合(資産の内訳:現金、車両、居住用住宅、年金口座、投資用不動産、株式と投資信託、事業利益等)を示しています。
そしてこの章の最後には、図表14「資産全体に『事業利益』が占める割合」があります。日本人へ向けて1つだけ選ぶとしたら、私はこの図を挙げます。

なぜなら「富を築く人たちは収益資産を多く持っている」という事実が示されているからです。
富裕層ほど収益資産(株式と投資信託、債券、事業利益等)の割合が高く、逆に資産の少ない層はほとんど保有していないことが、一目でわかります。
信頼性の高いデータに裏打ちされた本
もちろん、「どちらが先か」という議論(ニワトリが先か、卵が先か)はあります。
ただ、収入があり貯蓄できるようになったら、収益資産を持ち始めるべきで、それがさらに収入を増やし、資産を増やす好循環を生みます。
資産が収入を生み、その収入がさらに資産を増やす――その繰り返しです。
前著『JUST KEEP BUYING』では100年以上に及ぶ信頼性の高いデータに裏打ちされた60の図表を、本書『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』では50年以上数万世帯にわたる金融データから導き出された33の図表を掲載しています。今回は50年分ですが、その分、濃密です。
データサイエンティストとしての私のバックグラウンドがこの2冊の本の強みでもあります。
(本稿は『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)



