来年はどうすれば、投資で成功できるのか? そこで今回は、『お金の大学』の両学長も推薦するベストセラーTHE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』と、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏に緊急インタビューを敢行した。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

投資が怖くて一歩が踏み出せない人に伝えたい「富のマインドセット」とは?【JUST KEEP BUYINGの著者が語る】Photo: Adobe Stock

日本人には「マインドセットの転換」が必要

投資が怖くて一歩が踏み出せない人に伝えたい「富のマインドセット」とは?【JUST KEEP BUYINGの著者が語る】ニック・マジューリ(Nick Maggiulli)
Ritholtz Wealth Management社の最高執行責任者兼データサイエンティスト
同社の業務全体を監督し、ビジネスインテリジェンスの観点から有益な分析を行っている。ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBC、ロサンゼルス・タイムズなどに記事を寄稿。緻密なデータに基づくパーソナルファイナンス関連の人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆。スタンフォード大学卒(経済学学位)。ニューヨーク市在住。著書に日本で20万部(全世界46万部)を突破した『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』(ダイヤモンド社)がある。

――『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』には松下幸之助のエピソードがあり、ニックさんの日本愛が伝わってきます。日本では、新NISAをきっかけに投資を始めた人も多いのですが、いまだ一歩を踏み出せずにいる人も大勢います。そこで日本人が「富の階段」を登るために、どんな“最初の一歩”が必要か教えてください。

ニック・マジューリ(以下、ニック) 最初の一歩についてですが、日本の方は特に、“マインドセットの転換”が必要だと思います。

 というのも、歴史的に振り返るとここ数十年、日本では「現金を持ったまま投資をしない」ことでむしろ報われてきました。

 長期にわたる低インフレ、あるいはデフレにより、株式市場の成績が振るわず、現金の価値がほとんど目減りしてこなかったからです。そうした状況では、現金を“ベッドの下”、日本式に言えば“タンスの中”に置いておくことが最善策でもありました。

 しかし今、ポストコロナ以降の世界はインフレ基調となり、特に日本では1980年代以来の高さになっています。これだけインフレが進むと、現金を持ち続けるのは長期的に見て“悪手”になっています。

――「悪手」とは?

ニック 日本では新しいパラダイム、あるいは新しい市場環境が始まっています。1990年のバブル崩壊以降、長い低迷期を経験した日本人が株式投資に慎重になるのもよくわかります。
 しかし、悪い時代は確かにありましたが、今は市場が好調で、インフレ要素もあります。現在の状況のほうが投資家にとって「自然な環境」であり、1990~2000年代のほうがむしろ例外的だったのです。

 市況が好調な今、「現金を持ち続ける」マインドのままでいることは、「悪手」になっていると言えるでしょう。

それでもまだ投資が怖い人へ

 それでもまだ投資が怖いなら、リスクの低い投資から始めればいいと思います。
 でも、とにかく重要なのは、「今日から始めること」です。

 いきなり全財産を株式につぎ込む必要はありません。でも「何か」を始めてみてください。新NISAで少しだけリスクを取る選択をしてみるとか、成長株への投資を少しだけ始めてみるとかでもいいのです。

 ゼロリスクの投資というものはありません。リスクは確かに怖いものです。
 それでも私は、「まったく投資をせず成長のチャンスを逃すより、少しでも株を持つほうが、ずっといい」と思っています。

 日本ではすでに大きな経済回復が起きていると感じていますし、それが明日にも終わる兆候は見えません。ですから少しからでもいいのです。今日から「投資」を始めてみましょう。

(本稿は『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)