ついに日銀が利上げに踏み切った。株価上昇か? 暴落か? どうすれば、投資で成功できるか? そこで今回は、YouTube「両学長 リベラルアーツ大学」でも紹介されたベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』と、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏に緊急インタビュー。親日家のニック氏は日本人に何を語るのか?(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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日本の投資家へのアドバイス
ニック・マジューリ(Nick Maggiulli)Ritholtz Wealth Management社の最高執行責任者兼データサイエンティスト
同社の業務全体を監督し、ビジネスインテリジェンスの観点から有益な分析を行っている。ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBC、ロサンゼルス・タイムズなどに記事を寄稿。緻密なデータに基づくパーソナルファイナンス関連の人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆。スタンフォード大学卒(経済学学位)。ニューヨーク市在住。著書に日本で20万部(全世界46万部)を突破した 『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』(ダイヤモンド社)がある。
――日経平均株価は2025年1月の39,572円から今年10月に52,411円と史上最高値を更新しました。年末年始を迎える日本の投資家にとって、どんな「投資戦略」が重要になりますか?
ニック・マジューリ(以下、ニック) 日本の投資家にも、アメリカの投資家にも、私は同じアドバイスをします。それは「資産を分散すること」です。
日本でもアメリカでも、株価が最高値を更新している今こそ、特定の市場に集中しすぎていないか確認すべきでしょう。日本の投資家が全財産を日本株に投資すべきでないのと同様、アメリカ人も全財産を米国株に投資すべきではありません。適度な分散が重要です。
特に日経平均株価がどんどん上がっていると、特定の株や金融商品に集中して投資したくなる誘惑にかられます。しかし、私のアドバイスはシンプルです。
「ちょっと落ち着いて、分散を考えよう」です。
この言葉はとてもシンプルですが、驚くほど多くの投資家がこのアドバイスを軽視しています。それは投資家の多くが「ホームバイアス」(自国偏重)に陥ってしまうからです。つまり、米国人は米国株ばかり、日本人は日本株ばかり買い、海外投資のチャンスを見逃してしまうのです。
暴落は本当に起こるのか?
――「来年は株価が暴落する」という人もいます。
ニック ありうることだとは思いますが、それは誰にもわかりませんし、「暴落」をどう定義するのかという問題でもあります。
たとえば、米国株の場合、年間で一時的に15%ほど下落することはごく普通に起きます。
1月から年末までの間に、どの年でも一時的な下げ幅を調べると、中央値は約15%。つまり、半分の年は15%より小さく、半分の年はもっと大きい。
だから、下落は“普通に起きる”ものなのです。
良い年ならせいぜい5%程度の下落で済むかもしれないですし、悪い年なら50%、60%、70%と下がる可能性もあります。理論的には下限というものはありません。だからこそ、日本人のみなさんに今お伝えしたいのは、ポートフォリオを組むときには常に分散を考える、ということです。
未来のことは誰もわかりません。どんなことも起こりうるでしょう。よって、株式以外の資産にも目を向けることが重要です。将来また株の大暴落が起きたときに備えるためにも、「資産を分散する」という戦略が大切なのです。
(本稿は『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)



