美術館に行っても「きれい」「すごい」「ヤバい」という感想しか出てこない。でも、もっと美術を楽しめるようになりたい。そう思ったことはありませんか?
「こやぎ先生」としても活躍する、ご指名殺到の美術旅行添乗員・山上やすお氏の書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』から「マジですごい」超絶美術をご案内します。

サルバトール・ムンディ『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』より

「サルバトール・ムンディ」

ふ~、到着しました。どうですか、このフカフカのソファにきらびやかな室内…、あ。よかったらシャンパンでもどうぞ…。私はブランデーをロックで。

――え、急にどこに来ちゃったんですか! こんな宮殿みたいな…。あ、シャンパンありがとうございます。カンパ~イ☆…じゃないですよ(汗)! なにここ!?

ふふ、正面をご覧ください。ここにとんでもなくオーラを放つ絵が掛かっていますね?

――うおっ! これは…オーラというか瘴気(しょうき)というか…とんでもない呪力を感じますね(汗)!

『呪術廻戦』(笑)? こちらが今回の旅の最終目的となる、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた「サルバトール・ムンディ」です。日本語に訳すと「世界の救世主」という意味になりますね。この作品は2017年、公開オークションによって史上最高落札価格を大きく更新し、なんと約505億円で落札されました。

――ごひゃくごおく…!! もう手も足も出ませんね…まぁさっきからだけど(汗)。

描かれているのはイエス・キリストの肖像画です。左手には穢(けが)れなき世界を表すクリスタルを持ち、右手は指をクロスさせ祝福を授けるポーズ。正面を向いた視線はしっかりと私たちの方へ投げかけられ、その瞳に吸い込まれるようになるんじゃないでしょうか?

――確かに…。山上さんと一緒に世界を回ってきましたが、この絵はなんだか別格のような気がしますね…。上手…だけでは表現できない何かがあるというか…。

ですね。だから世界中の人がオークションに参加し、ここまで値段が吊り上がったんだと思います。そして、最終的に落札したのは…、サウジアラビアの皇太子ムハンマド・ビン・サルマンと言われています。そして、今私たちのいるここが…。

――そうですよ、ここどこなんですか! なんか豪華だしぷかぷかするし落ち着きません! …ん? ぷかぷか…(汗)?

ふふ、ここはその皇太子の専用クルーザーの中ですよ! サルバトール・ムンディは今、彼のクルーザーに掛けられているんです!!

――どぇぇぇぇぇぇぇ(汗)! そ…そんなことが…。

中東が美術をリードするって言ったでしょ(笑)? サウジアラビアももちろんその一員です。どうやら今、首都のリヤドに美術館を建設中らしく、完成したらサルバトール・ムンディもそこに移されるのでは? と言われていますが正直どうなるかわかりませんね。そんな禁断の絵なんですよ…!

――ととととんでもないものを見てしまったんですね、僕たち! そう思うと、なんかこの絵に取り憑かれてしまいそうです…。…あぁぁぁ、呪力が体に満ちてくる…!

大変! すぐ五条先生呼んできますね(笑)!

*この作品は落札後、行方不明なんですが、皇太子のクルーザーで見かけたという証言があり、一番有力ではと言われています。ただ、スイスの金庫に入れてあるという説など、所在については諸説あります。

(本記事は『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』の一部を抜粋・編集し作成しました)