エネルギー株の連勝、来年も続くのかPhoto:UCG/gettyimages

 今年は電力セクターのほぼ全ての分野で株価が上昇した。この連勝は続くのだろうか。

 電力セクターの勝者リストは長い。最もグリーンなものから最も汚染度の高いものまで、確立された技術から投機的なものまで、さらにはこのセクターでの役割があまり大きくない企業まで含まれる。

 根底にあるテーマは「不足」だ。横ばいの需要に合わせてゆっくり動くことに慣れたセクターで、供給は人工知能(AI)の増大する差し迫った電力需要に追いつくことができていない。AIブームの初期段階では、投資家はコンステレーション・エナジーやビストラなど、原子力発電所や天然ガス火力発電所を持つ企業の株に殺到した。それ以降、株価上昇は電力業界のほぼ全ての分野に広がった。

 再生可能エネルギー株を例に挙げよう。「一つの大きく美しい法案」の一環としてこのセクターの補助金が削減対象となったため、年初は弱い動きだった。だが、再生可能エネルギー税額控除の削減規模とその適用要件が今夏明らかになると、セクターは回復し始めた。JPモルガンの株式アナリストのマーク・ストラウス氏によると、AIの電力需要拡大に注目する投資家による「キャッチアップ取引」があった。

 年初来でインベスコ・ワイルダーヒル・クリーン・エネルギーETFは約60%、インベスコ・ソーラーETFは50%、それぞれ上昇している。太陽光と風力だけではない。地熱エネルギー企業のオーマット・テクノロジーズは今年約65%上昇している。同社は既存の地熱発電施設の一部についてデータセンター顧客と、契約満了後により高い価格での電力販売契約(PPA)締結に向け協議していると述べている。

 さまざまな原子力関連株も上昇している。トランプ政権による原子力導入の加速を目的とした大統領令などが追い風となった。カナダのウラン生産大手カメコは約80%上昇し、原子力発電所を持つコンステレーション・エナジーは約60%上昇した。投機的な小型モジュール炉(SMR)関連株の一部もこの波に乗り、オクロの株価は今年3倍余りとなった。

 設備メーカーも好調だった。天然ガスタービン製造を手掛けるGEベルノバの株価は2倍になった。このタービンの受注残が膨らんでいるため、より容易に入手できる小型で高価な電力設備への需要が押し上げられている。建設機械メーカーのキャタピラーと自動車エンジンメーカーのカミンズはいずれも小型タービンを製造しており、キャタピラーの株価は約60%、カミンズの株価は50%、それぞれ上昇した。燃料電池を手掛けるブルーム・エナジーの株価は4倍になった。