「メール返信が驚くほど早い人」のたった1つの習慣とは?
「読むのが速い人の秘密」とは?
読書中、私たちは文字を脳内で“音”に変換し、その音で理解しています。ポイントは「音の理解速度」。ここを鍛えれば、読書は一気に変わります。本連載は、耳から脳を鍛え、速読力を高める「速聴トレーニング」をお伝えするものです。脳を鍛えることで、理解力、記憶力、集中力もアップします。そのノウハウをまとめた『耳を鍛えて4倍速読』の刊行を記念し、本記事を配信します。

「メール返信が驚くほど早い人」のたった1つの習慣とは?Photo: Adobe Stock

「メール返信が驚くほど早い人」のたった1つの習慣とは?

 本日は、「メール返信が早い人の秘密」についてお伝えします。

「返信が遅いのを直したいのに、なかなか改善できない」。そう感じている方は少なくありません。相手を不快にさせたくないし、自分自身も連絡を滞らせずに日々を回したいのに、なぜか返信が後回しになってしまう。しかもビジネスに限らず、家族や友人とのやり取りでも同じ傾向があると、「自分の性格の問題なのだろうか」と落ち込みやすくもなりますよね。

なぜ、返信が遅くなるのか?

 けれど、返信が遅くなることは、単なるだらしなさではなく、脳の仕組み上起こりやすい現象でもあります。私自身も以前は返信が遅い側でしたが、現在は「返信が早い」と言われることが多くなりました。変化の鍵になったのは、気合いや根性ではなく、脳が先延ばししにくい形に「環境」を整えることでした。

 返信が遅くなる原因は、大きく二つに分かれます。一つは生真面目で、相手に失礼がないようにと返信文を丁寧に考えすぎてしまうタイプ。もう一つは、単純に着手が億劫で、手が動きにくいタイプです。一見まったく別の性質に見えるのですが、本質は共通しています。

 返信には「考える」と「動く」の二つが含まれます。忙しいときに「明日の夕食を考えて」と言われた瞬間、思考の負荷を感じることがありますし、くつろいでいるときに「少し手伝ってほしい」と頼まれると、立ち上がること自体に抵抗を感じることがあります。返信は、その両方が一度に来るため、後回しになりやすいのです。

 この話を整理するときに役立つのが、脳の役割分担です。人には、感情や直感で素早く判断する領域と、論理的にゆっくり考える領域があります。感情や直感を担うのが、いわゆる辺縁系で、これは幼い頃からよく働きます。「いま快か不快か」「いま楽か面倒か」といった基準で物事を判断しやすい。

「面倒だから考えたくない」が生まれる理由

 一方で、先を見通して「この行動は必要だ」と計画を立てたり、衝動を抑えたりするのが前頭前野で、こちらは二十歳前後までかけて成熟していくと言われています。重要なのは、人は放っておくと辺縁系が優先されやすいという点です。目の前の誘惑が勝つ、考えるのが面倒だから考えたくない、動くのが面倒だから動きたくない。返信は、まさにその影響を受けやすい行動です。「いつか返そう」と思った瞬間に、“いまは面倒”が勝ちやすくなる。したがって「いつか返信する」は、脳の性質上、現実になりにくいのです。

メール返信を早くする習慣

 では、どうすれば返信の速度を上げられるのでしょうか。結論はシンプルで、「次にいつ返信するかを、あらかじめ決めておく」ことです。返信を早くするとは、「常に即レスできる人間になる」という話ではありません。むしろ、先延ばしができない状況を意図的に作ることに近い。人が動きやすくなるのは、緊急性が立ち上がったときです。

 たとえば期限が迫った課題のように、面倒でも「今日やらないと困る」が発生すると、人は動けます。これは、感情の領域は「困るのは避けたい」と感じ、論理の領域は「やるべきだ」と判断し、両者の目的が一致するためです。つまり、返信にも“緊急性”を人工的に付与してあげればよいのです。

 具体的には、一日の中に「返信を返す時間」を複数回、固定で設けます。たとえば「毎時45分から00分までの15分は返信の時間」というように、短い枠をあらかじめ作ってしまう。すると「この時間になったからメールやメッセージを確認し、返信する」というルールが成立し、迷う余地が減ります。結果として、最低でも1時間に1回は返信できるようになるため、「遅すぎて相手を待たせてしまう」状態から抜けやすくなります。

習慣化のポイント

 ここでのポイントは、返信を「気が向いたらやる作業」から、「時間になったら行う習慣」へと引き上げることです。生真面目な方は、文章を考えすぎて止まりがちですが、時間枠があると「この枠の中で返す」と決めやすくなります。億劫さが強い方も、「考える前にまず開く」という動作が習慣化しやすくなります。

 最初から完璧な返信を目指す必要はありません。むしろ、完璧に返そうとするほど返信が遅くなるケースは多いものです。返信枠の中では、まず相手にボールを返すことを優先して、「確認します。〇時までにお返事します」「いま移動中なので、後ほど改めて返します」といった一次返信でも十分です。

 相手が苛立つ大きな理由は、「見たのかどうか分からない」「いつ返ってくるか分からない」という不確実性にあります。内容の完成度よりも、反応があり、次の見通しが示されることが効きます。返信時間を決めると、これが無理なく実行できるようになります。

 そして面白いことに、返信が速くなると、仕事も人間関係も回りやすくなるという利点を実感しやすくなります。すると、いちいち返信時間を設けなくても、気づいたときに自然に返信できる状態に移行しやすい。最初は仕組みで助走をつけ、後から“自分らしい行動”として定着していく、という順番です。ですから「自分は返信が遅い性格だから仕方ない」と決めつける必要はありません。性格の問題というより、設定の問題です。返信を速くしたいなら、まずは今日から「返信する時間を決める」。それだけで、先延ばしの起き方が変わり、返信速度の改善につながっていきます。

(本原稿は『耳を鍛えて4倍速読』の一部抜粋・加筆を行ったものです)