「本は1時間で読める?」科学が示した“速読の限界”がこちら
「読むのが速い人は、目ではなく、耳がすごい」
読書中、私たちは文字を脳内で“音”に変換し、その音で理解しています。ポイントは「音の理解速度」。ここを鍛えれば、読書は一気に変わります。本連載は、耳から脳を鍛え、速読力を高める「速聴トレーニング」をお伝えするものです。そのノウハウをまとめた『耳を鍛えて4倍速読』より内容を抜粋し、ご紹介します。
Photo: Adobe Stock
科学が示した“速読の限界”とは?
読書において、私たちは文字を脳内で“音”に変換し、その音で理解しています。生物学的に脳内音読を止められない以上、私たちが追求すべきは「理解を置き去りにしない、限界ギリギリの速度」です。
実は、この上限は理論的に見積もることができます。人が一度に認識できる文字数は約7文字と言われています。カリフォルニア大学の研究(※1)によると、文字を理解するために最低でも0・25秒が必要。つまり、1秒間に4回の文字認識が理論上の限界と言えます。計算式にすると以下の通りです。
・1分間の認識回数:240回(1秒で4回×60秒)
・1分間の認識文字数:1680文字(7文字×240回)
一般的な日本語のビジネス書は10万字程度ですから、理解を伴う読書の理論上の最短は約59分、つまりおよそ1時間となります。もっとも、これはあくまで「理論値」です。
実際の読書では、文字種の違いや未知語の出現、行戻りなど、多くの要因が関係します。特に日本語は、漢字という情報密度の高い文字と、ひらがなを組み合わせた体系です。「図書館」という漢字3文字は、英語なら「library」と7文字必要になる。つまり、一度に理解できる情報量は文字数だけでは測れません。
読書速度の限界点とは?
眼球運動の計測にもとづく工学系の別の論文(※2)によれば、速読の限界値は、精読時で1分間約1200文字。10万字の書籍を読むのに、約83分かかる計算になります。この値は私の経験則と一致します。ただ、読む本が初めて触れる分野の専門書や、思考を深めたい良書だった場合、この値を下回ることも珍しくありません。
※1 Rayner K, Schotter E R, Masson M E J, Potter M C, Treiman R.(2016). “So Much to Read, So Little Time: How Do We Read, and Can Speed Reading Help?” Psychological Science in the Public Interest, 17(1), 4-34.
※2 Kaketa K.(1998). “読書時の単語認知過程 : 眼球運動を指標とした研究の概観.” 北海道大學文學部紀要, 46(3), 155-192.
(本原稿は『耳を鍛えて4倍速読』の一部抜粋・加筆を行ったものです)







