『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、子どもの成績を伸ばす親の関わりかたについて解説します。
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思うように成績が伸びない子ども
「子どもは頑張っているのに思うように成績が伸びない」
「模試の判定結果が悪かった」
進路相談をしていると、こうした言葉を本当によく耳にします。習い事もしている。塾にも通っている。資格も取っている。親として、できることは全部やっているつもりなのに、結果が出ない。
このタイプの家庭には、ある共通点があります。それは、頑張っている「主体」が、子どもではなく親になってしまっていることです。
最初に誤解を解いておきたいのですが、私は「過保護=悪」だとは思っていません。むしろ、子どもに関心を持ち、手をかけている時点で、それはとても健全な姿勢です。
問題は、その関わり方です。
よくあるのが、ヘリコプターのように上空から見張り、「こっちに来なさい」「それは違う」「次はこれ」と、常に親が進む方向を指示してしまうケースです。
この関わり方は、一見すると効率的です。失敗もしにくいし、遠回りもしない。ただ、その代償として、子どもが「自分で歩く経験」を失っていきます。
例えば、推薦入試の面接や志望理由書で、「頑張ってきたこと」を語れない子がいます。実績は立派です。英検も持っている。ボランティアもしている。探究活動もやっている。それなのに、話を聞いていると、どこか他人事のように聞こえるのです。
理由は明確です。その努力が、“やらされた努力”だからです。親が決め、親が段取りし、親が背中を押し続けた努力は、結果として残っても、本人の中に「選んだ感覚」が残りません。だから語れない。だから深まらない。だから、推薦入試で評価されにくいのです。
歩くのは子ども
私が理想だと思っている親の立ち位置は、とてもシンプルです。歩くのは子ども。親は前に立つのではなく、横にいる。進む方向を決めるのも、スピードを決めるのも、一度立ち止まるかどうかを決めるのも、子ども。親がやっていいのは、立ち止まった理由を一緒に考えたり、進んだ道を一緒に振り返ったり、次にどうするかを質問する、という「対話」です。この部分を、過保護なくらい丁寧にやってあげることです。
これは、放置ではありません。むしろ、対話と質問については、徹底的に過保護でいいのです。「なんでそれを選んだの?」「やってみてどうだった?」「面白かった点と、しんどかった点は?」「次も続けたい? それとも別をやってみたい?」といった問いを投げ、子どもが自分の歩みを言葉にする時間を作る。これがあるかないかで、同じ経験でも「成長」になるか、「消費」で終わるかが決まります。
「頑張っているのに成績が伸びない」家庭で起きていること
成績に伸び悩んでいる家庭ほど、実は行動量は多いことが多いです。習い事が多い。資格も多い。スケジュールは常に埋まっている。ただ、その一つ一つに、「なぜやっているのか」「何を得ようとしているのか」を本人が語れるかというと、そうではない。
行動の量が増え、思考の時間が減っている。これが、「頑張っているのに伸びない」状態の正体です。
子どもに振り返りをさせてみよう
推薦入試で評価されるのは、完璧な経歴ではありません。自分で選び、試行錯誤し、うまくいかない経験も含めて、それを言葉にできることです。
そのために、親がやるべきなのは、進路の舵を取ることではありません。振り返り役であり、質問役であること。
歩かせるのは子ども。考えさせるのも子ども。でも、考えたことを言葉にする場を用意するのは、親にしかできません。
子どものために、と思ってやってきたことが、実は成長を止めていた。これは、誰にでも起こり得ることです。だからこそ、体験したことや今日あったことを子どもと振り返る時間をとってみてください。それだけで、子どもが見る世界は一段と具体性が増すでしょう。
これからの時代の入試で強い子は、特別な才能を持っているわけではありません。自分で選び、自分の歩みを語れる子です。その土台を作るのは、親の「やらせすぎ」を手放す勇気なのかもしれません。
(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)




