美術館に行っても「きれい」「すごい」「ヤバい」という感想しか出てこない。でも、もっと美術を楽しめるようになりたい。そう思ったことはありませんか?
「こやぎ先生」としても活躍する、ご指名殺到の美術旅行添乗員・山上やすお氏の書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』から「マジですごい」超絶美術をご案内します。

「ひとりじゃないはずなのに、孤独を感じる…」そんな人が見るべき「名画」とは?『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』より

都会の孤独を描いた画家

こちらはエドワード・ホッパーによる「ナイトホークス」です。

――へ~、この作品はカッコイイですね! ナイトホークスってなんですか?

ナイトホークスはヨタカという夜行性の鳥の名前ですが、そこから「夜更かしをする人」という意味もあるようですね。描かれているのはダイナーと呼ばれる簡易食堂に集う人々だそうです。

――あ、ちゃんと実際の場所があるんですか?

いえ、ホッパー曰く、「実在のダイナーから単に思いついたもの」だということなので、デフォルメされているんだと思います。実際に風景は大幅に単純化されているし、レストランも実際のものより大きく描かれているんだそうですよ。

――ふーん…。で、これがアメリカらしい絵画なんですか?

うーん、アメリカらしいというか、当時のアメリカを映し出した絵画って感じでしょうか。急速に発展を迎えたアメリカはシカゴもそうですが、巨大都市を作り上げていきました。でも、そこで物質的に豊かになっていく社会の一方、人間関係は希薄になり人々が自分の居場所を見つけられなくなっていたんです。そんな情景を鋭く描写した! って感じでしょうね。

――なるほど。確かに明るい店内の割にはなんか寂しいと思ったんですよね…。

ですね。この妙に明るい蛍光灯もなんか寒々しいと思いませんか? 実は、蛍光灯もこの時代に普及し始めたんですが、今までの暖かいガス灯とかの光とは違い、明るいんだけど冷え冷えしているように見えますよね。

――確かに、中にいる人たちもなんか楽しそうじゃないですもん(汗)。

ほんとそうですよね(笑)。都会の片隅にいる人物が文明にのみ込まれるような…。カップルはなんだか物思いに耽っているようだし、そこから離れて座る後姿の男性の背中がもうね…!

――大都会の孤独…! って感じですね(涙)。

でしょ? 当時の人びとは薄々そんな感覚を感じていたんだと思います。その言葉にできないような思いを絵画で表したのがホッパーだったんです。そして彼はこの「都会の孤独」を主題にたくさん絵を描いていったんですよ。ほら、この作品も映画館でみんなが映画を観ている時に一人たたずむ女性ですね。

「ひとりじゃないはずなのに、孤独を感じる…」そんな人が見るべき「名画」とは?『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』より

――これも孤独感満載(汗)。

でしょ、一人の孤独もありますが、二人の孤独バージョンもありますよ! ほら、状況的に考えたら全然あり得る光景だと思うんですが、絵にするとこうも孤独が浮き彫りになるのかって感じですよね!

「ひとりじゃないはずなのに、孤独を感じる…」そんな人が見るべき「名画」とは?『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』より

――うちも喧嘩した時はだいたいこんな感じです(汗)。

ア…アメリカンなおうちなんですね(汗)。

(本記事は『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』の一部を抜粋・編集し作成しました)