「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」‥‥‥。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

子どもの心を閉ざす声かけ・ワースト1は「泣かないでくれる?」Photo: Adobe Stock

つい、言ってしまいがちな2つの言葉

「ねー、泣かないでくれる?」
「黙ってないで、なんか言ったらどうなの?」……。

 子どもが何も言わずに、ただ泣いたり、黙ったりしているとき、親はついつい、イラっとしてこう言ってしまうことがありますよね。

 しかし、これらは、子どもが自分の気持ちを感じ取ったり、頭の中で整理したりする、大事なプロセスを奪いかねない悪しき声がけです。この状態がくり返されると、子どもは次第に、「よくわからない感情は、外に出す前に消されてしまうのだ」と感じるようになります。

「話す力」より「感情を素直に感じ、それを言葉にする力」が大事

 子どもの時期に磨くべきは、話す力よりも、感情を素直に感じることや、その感じたものを言葉にしようとする力です。
「なんで泣いてるの?」と聞かれても、子どもがすぐに答えられないのは当然です。心の中では、悲しさ、寂しさ、怒り、戸惑い、不安……いくつもの気持ちが同時に渦を巻いているからです。

 親や大人は、子どもが「まだ言葉にならない状態にいる」ことを理解してあげる必要があります。子どもには、感情を感じるための時間と、それを言葉に変えていくための時間が必要なのです。

テストで測れない「非認知能力」は生きるための必須能力

 感じたことを言葉にする力は、いわゆる「非認知能力」のひとつ。テストでは測れない、しかし、これからの時代を生きるうえで欠かせない力です。

・感情を感じ取る力(自己認識)
・それを言語化する力(感情知性)
・相手に伝える力(対人スキル)

 こうした力が育つことで、子どもは人間関係でつまずきにくくなり、自分の言葉で人生を切り拓いていけるようになります

 親や大人がすべきは、正解を急かすことでも、気持ちを決めつけることでもありません大事なのは、子どもの「感じる時間」や「考える時間」を邪魔しないこと
 子どもが言葉にするのをじっと待つ“懐の深さ”なのです。

 どうしても子どもが自分の気持ちを言葉にできないときは、「それって、悲しかったのかな? それとも悔しかったのか?」「どんな言葉がいちばん近いと思う?」。そんなふうに、子どもの気持ちを言葉にする“通訳”のような関わりをしましょう。
 正解を教えるのではなく、自分の気持ちに気づかせるヒントを与えるのです

 少しくらい時間がかかっても、自分の気持ちをたっぷり味わい、感じたままに言葉にできる子は強い。その小さな経験の積み重ねが、やがて揺るぎのない言語化の土台となっていくのです。

 拙著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』には、親子や子ども同士でできるゲームを通じて、「感情を言葉にする力」が育つ遊びをいくつか紹介しています。ぜひ気軽にやってみてください。

 *本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。