「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」
投資の世界では有名な言葉です。地理的に離れた場所の紛争は直接的な経済被害が小さく、株価下落が絶好の買い場になるという、リスク回避心理を利用した逆張りの考え方です。実際、ロシアウクライナ戦争を受けても、多くの先進国の株価は上昇しています。
しかし今回、懸念されているのは台湾有事。1950年の朝鮮戦争以来の近い距離での紛争が起こる可能性があるわけです。日本株も安泰でいられるかは不透明でしょう。
では、何に資産を置くべきなのでしょうか?
それは、「国家に帰属しない資産」へのシフトではないかと、私は考えています。
重要になるのは、国家の信用や特定のサプライチェーンに依存しない「代替資産(オルタナティブ)投資」でしょう。
「オルタナティブ投資」とは、上場株式や債券などの伝統的資産とは異なるプライベート・エクイティ(非上場上場企業株)やコモディティ(商品)、ヘッジファンドなどへの投資を指します。昔から、株や債券などの伝統的資産と異なる値動きをするため、リスク分散やより高いリターンを求める富裕層や機関投資家には、なじみのある投資手法です。
日本の富裕層もかなり以前から海外のプライベートバンクを中心にプライベートエクイティに投資する方も多く、実際に損失を回避するどころか資産は大幅に増えています。今ではネット証券も富裕層や準富裕層向けにプライベートエクイティ投資商品を販売し出しています。
そして、なんと言っても、オルタナティブ投資の代表格である金が上昇し続けています。金だけではなく、銀やプラチナも2025年に大きく上昇しています。これからは、国家の信用に依存しない、暗号資産なども含めたモノへの投資がますます加速していくと考えられます。
そのほか、有事において需要が急増する軍事産業にも気を配りたいところです。もちろん通貨を円だけにしているのは危険でしょう。
インフレ対策の「その先」へ
台湾有事は自らの経済リスク
2025年は、インフレ対策が資産運用のテーマでした。今も日本株、米国株は2025年の高値を超えて上昇しています。
しかし、エヌビディアをはじめ、今までの株式市場をけん引したハイテク銘柄は、実は昨年10月の高値をいまだ超えることが出来ていません。これは数年続いた平穏な上昇相場が終了することを示唆しているように、私は感じています。資産運用環境も平和が当たり前の時代から、有事に備えるべき時期に突入しているように思えてなりません。
銀行預金が「サイレントリスク」となり、5年で資産の購買力が約10%強も減少するインフレ下において、資産運用は必須です。しかし、2026年以降の激動の世界情勢を見据えるならば、単なる積立投資から一歩進み、地政学リスクを織り込んだ「資産や通貨の分散」が不可欠ではないでしょうか。
「台湾有事」を単なる軍事リスクとしてではなく、自分自身の資産を守るための「切実な経済リスク」として捉え直すべき時が来ているように思います。







