コンサルが凍る一言「きれいな資料だね」…その裏にある“最大級のダメ出し”とは?
戦略コンサルやシリコンバレーの経営者、MBAホルダーには、共通点があった。「伝える内容を1つに絞り、1メッセージで伝えて、人を動かす」ということ。プレゼン・会議・資料作成・面接・フィードバックなど幅広い場面で成果を上げるノウハウをまとめた書籍『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』から一部抜粋して紹介する。
Photo: Adobe Stock
コンサルが凍る「資料への最大級のダメ出し」がある
コンサルであれば、毎日のようにクライアントにプレゼンする資料を作成する。昔、わたしも戦略コンサルをしていた14年間はそうだった。
しかし、コンサルも駆け出しのときは、プレゼン資料を上手くは作れない。そんなときに、シニアなコンサルタントから投げかけられる、駆け出しのコンサルが最も言われたくない「資料への最大級のダメ出し」がある。
言われたくないダメ出しとは「ファクトパック」
コンサルが最も言われたくない「資料への最大級のダメ出し」の一つは、「ファクトパック」だ。駆け出しのコンサルタントだった頃のわたしも、この言葉を浴びせられては凹みまくった。具体的には、次のように言われる。
「きれいなファクトパックだね」
一見、これだけだと褒められているように思うかもしれない。実際に、駆け出しのコンサルタントで、初めてこの言葉を浴びせられる人には、そう勘違いする人もいる。しかし、これはコンサルにおける、資料への最大級のダメ出しの一つで、背筋が凍る言葉だ。
「ファクトパック」とは「メッセージ」がない資料だ
コンサルにおいてファクトパックとは、事実だけが整理されてまとめられていて、そこに「メッセージ」がない資料のことを指す。ここでメッセージとは、問題に対しての自分なりに考えた答えのことだ。
駆け出しのコンサルタントが事実だけを整理したファクトパックをつくりがちなのは、逃げているからだ。事実を整理するだけなら、あまり考えなく済む。事実を伝えるだけなら、間違っていると否定されることもない。このため、まだ考えるのに長けておらず、自信もない駆け出しのコンサルタントは、考えることから逃げ、そして、否定されることからも逃げ、“仕事した風”のファクトパックをつくってしまうのだ。
しかし、そこにはなにかの問題に対しての自分なりに考えた答え、すなわち、メッセージはどこにもない。コンサルは問題解決を生業とする。問題解決とは、問題に対しての答えをメッセージとして言葉にし、それが議論や実行によって否定されてもそこから学んで軌道修正していき、よりよい答えを見つけていく作業だ。そこから逃げているコンサルタントも、そんな答えの載っていない資料も、問題解決にはなんの足しにもならないのだ。
こうして、駆け出しのコンサルタントにとって「資料への最大級のダメ出し」の一つが、「ファクトパック」と呼ばれることなのだ。
コンサルだけではなく、多くの職場で「ファクトパック」が溢れている
この「ファクトパック」というダメ出しはコンサル特有の業界用語だとしても、同じような問題が多くの組織の多くの職場で起きていたりする。
会議という名目で多くの人が集められる。プレゼンが始まるが、取り組みや実績や結果などの事実がきれいに整理はされているが最終的になにを言いたいのかがわからない“仕事した風”の資料で延々と一方的に報告を聞かされる。長いプレゼンを聞かされた後に、司会者から「お時間がもうあまりありませんが、なにかいかがでしょうか?」と言われるが、そこにプレゼンした人の考えた答えがないので「いかがでしょうか?」と言われてもなにがいかがなのかもわからない。
このように、多くの職場で、生産性を下げている原因の一つが「ファクトパック」を作成することや、それをみんなの前でただ読み上げるだけのプレゼンだったりするのだ。
「ファクトパック」を作らずに、「メッセージ」を伝えよう
「ファクトパック」を作るのは楽だ。考えなくて済むし、否定されることもないからだ。しかし、「ファクトパック」はなんの問題も解決しない。
「ファクトパック」を作る暇があったら、「メッセージ」を伝えよう。なにかの問題に対して、自分なりに考え、それを答えとして言語化し、それを相手に伝えるのだ。まだ答えが出ていない問題に対して自分なりに答えを考えるのは大変だ。それを言語化して伝えたら、まわりから否定されるかもしれない。しかし、問題解決とは、そのような知恵と勇気を込めた自分なりの「メッセージ」を考え、それを伝えることから始まっていくものなのだ。
「ファクトパック」を作るのではなく、知恵と勇気を込めて「メッセージ」を伝えよう。
(本原稿は『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです)









