「休むのは悪いこと」と、限界まで自分を追い詰めていませんか? 実は、真面目な人ほど「休職=逃げ」と思い込み、心身が壊れるまで踏ん張ってしまいがちです。精神科医が教える命を守るための処方箋は、逃げることを「避難」と言い換えること。嫌な人や辛い環境から堂々と距離を置き、人生のピンチを生き抜くための、心がすっと軽くなる精神医学のアプローチを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)

【精神科医が教える】心が壊れる前に知るべき“言葉の処方箋”Photo: Adobe Stock

逃げられない人たち

今回のテーマは、少し重い内容になりますが「逃げる」ことについてです。私は精神科医として日々診療を行っていますが、精神的に追い詰められた状態で初めて来院される方が非常に多いのが現実です。

今日は、そうした「逃げられない人たち」へ向けて、精神科医の視点からお話ししたいと思います。

「休むこと」=「逃げ」という思い込み

診察をしていると、明らかにうつ病の症状が出ており、すぐにでも休職や投薬治療が必要な状態の方がいらっしゃいます。しかし、そういう状態の方に限って、なかなか「逃げる(休む)」ことができません。

「休むのはいけないことなので、もう少し様子を見られませんか?」
「なんとか自力で治そうと思って…」

周りが見かねて連れてきたり、自分でも「このままではダメだ」と思って来院されたりしているにもかかわらず、ご本人の中には「逃げる」という選択肢がまずありません。厳密には「休みたい」という気持ちがあっても、真面目な方ほど「休むこと=逃げること=悪いこと」というネガティブなイメージが頭を支配してしまっています。

「職場に迷惑をかけたくない」
「ここで自分が逃げるわけにはいかない」

そうして抱え込みすぎた結果、心身ともにフラフラの状態になっているのです。

「休職」を強くすすめる理由

本来であれば、限界を迎えている人こそ、一刻も早く休み、治療に専念しなければなりません。精神科医としては、ここで踏ん張りどころになります。休むべきなのに休みたくない患者さんに、いかに休養の必要性を伝えるか。

中には患者さんの意向を汲んで「じゃあ様子を見ましょうか」と引き下がるケースもあるかもしれませんが、本当に危険な状態であれば、事態はより深刻になります。そのため、「何がなんでも休職が必要です」と一生懸命説得することになります。

しかし、「逃げることは悪だ」という思い込みは非常に強固で、これを解きほぐすのは容易ではありません。だからこそ、この場を通して強くお伝えしたいのです。