ドナルド・トランプ米大統領は2期目の初めに、自由で民主主義的な秩序への米国の戦略的コミットメントを改革するのではなく、それと決別するという重要な決断を下した。トランプ政権は、国内外で安全保障と繁栄を長らく促進してきた、ルールに基づくアプローチを放棄すると明確に主張した。その代わりに、ロシアと中国が長年押し付けようとしてきたものに似た米国独自の「勢力圏」を構築することを望んだ。トランプ政権の観点からしても、それはうまくいっていない。トランプ氏の戦略は中東で一定の成功を収めた。1期目には、ロシア、中国両国がペルシャ湾岸地域に足掛かりを築いた。ロシア政府はイランを戦略的同盟国、地中海唯一のロシア海軍基地があったシリアを従属国だと主張した。イラン産石油の最大市場である中国は、イランとサウジアラビアの間に外交的架け橋を築いていると主張した。現在では、シリアのアサド政権は崩壊し、ロシアの防空システム「S300」は、12日間にわたったイランの対イスラエル戦争において、全く役に立たないことが判明した。中国は、同国の主要なエネルギー供給源を米国とイスラエルが猛攻撃するのを傍観していた。また中国は、パレスチナ自治区ガザの復興とイランの核開発計画の両方に関する米国主導の交渉から締め出されている。これは明確な勝利だった。だが一方で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は最近、ヨルダン川西岸への支配強化に取り組み、イスラエル政府は現地住民へのイスラエル人による暴力行為の取り締まりを減らしている。同氏はまた、ガザ停戦の段階的措置を前進させることを拒んでいる。これらの動きは、この地域における米国の立場を損なう恐れがある。