アラビア砂漠を疾走する大型トラックの車列が、世界経済の安全弁となっている。かつてアラブの交易を支えた隊商の現代版ともいえるこの動きの中で、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、オマーンの幹線道路・鉄道・港湾が、ホルムズ海峡を迂回(うかい)する緊急物流の生命線へと変貌した。米国とイスラエルによるイラン攻撃後、サウジの国営鉱業会社マーデンのボブ・ウィルト最高経営責任者(CEO)は同社幹部を紅海の複数の港に派遣し、2週間以内に鉄道・トラック事業者を手配し、肥料をサウジ国内で輸送できる体制を整えた。鍵となったのは、大量のトラックだ。ほぼ24時間体制で稼働し、それぞれ2人のドライバーが乗務する。「600台が1600台になり、2000台になった。今では3500台のトラックがペルシャ湾岸から紅海へと走っている」。米アルミニウム大手アルコアの幹部だったウィルト氏はそう話す。