料亭「賛否両論」オーナー兼料理人の笠原将弘さん料亭「賛否両論」オーナー兼料理人の笠原将弘さん

旅先で本当に心に残る店は、派手な評判のある有名店とは限らない。ふと見つけた小さな店の味や空気が、いつの間にか忘れられないものになることがある。料理人・笠原将弘氏が金沢で出会った町中華は、まさにそんな一軒だった。※本稿は、料亭「賛否両論」オーナー兼料理人の笠原将弘『うまい旅 笠原将弘のあちこち出張日記』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

ネットの情報よりも
自分の足で店を見つける

 出張先の飲食店情報を探すときは、あまりネットは参考にしていない。

 大好きな池波正太郎先生や東海林さだお先生の食エッセイ、雑誌『dancyu(ダンチュウ)』なんかを読んでいるうちに、気になる店や食べ物が次から次へと出てくる。そういった情報はとても有益だと思っている。

 あるいは、その土地出身の常連のお客さんや友達にも、でかける前に話を聞くようにしている。

 情報収集はまあほどほどにして、あとは現地で足の向くまま気の向くままに、あちこち動き回るのもいいものだ。ローカルな立ち食い蕎麦屋、町中華、大衆食堂なんかは大好きなので、気になる店があったら時間の許す限り立ち寄っている。

 小さなスーパーや食料品店、個人商店は、ちょっと視界に入っただけで心がざわざわっとなる。好奇心が掻き立てられる。

 その土地でしか売っていないであろう菓子パン、お惣菜、調味料、作ったおばちゃんの名前が書いてあるおにぎりやお寿司とかは、必ずチェックする。それが出張のささやかな楽しみだったりもする。