物価高が止まらない。金利も上がっている。これからの投資戦略をどうすればいいのか?
今、『お金の大学』両学長に絶賛されている投資・マネー本がある。ベストセラー『JUST KEEP BUYING』の著者ニック・マジューリ氏が書いた全米ベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段――資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』である。今回は「ニック氏が語る松下幸之助とお金の物語」について、本書の一部を抜粋して特別公開する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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「松下幸之助」と「お金の物語」とは?
松下幸之助という名前は、アメリカ人にはあまりなじみがないかもしれない。
しかし、彼は歴史上最も偉大な実業家の一人である。
松下は1894年、和歌山県の農村で8人兄弟の末っ子として生まれた。
16歳のときに電力会社(大阪電灯株式会社)に就職し、その後数年で昇進を重ね、22歳になる頃には検査員になっていた。
これは松下がこの職場で就きうる最も高給な職位だった。
松下はそれでも満足することなく、もっと大きなことを成し遂げたいと思っていた。
そこで、電球の取り外しが簡単にできる電気ソケットを考案し、上司に売り込んだ。
だが残念ながら、会社はこの改良品に可能性を見出さなかった。
この会社には将来性がないと考えた松下は、退職して自ら会社を創業し、松下電気器具製作所と名づけた。後のパナソニックである。
最初の数年間、松下は製品の設計から販売の大部分まで、ほとんどの業務を自ら行った。
しかし事業が軌道に乗ると、もはや一人ではすべてをこなしきれなくなった。
そこで従業員を雇い、自分が日々の細々とした業務に費やす時間を減らした。
その結果、会社を成長させるための大きな戦略を考える時間が増えた。
松下は、会社に「事業部制」という組織運営の仕組みを導入した。
この制度により、事業部内の管理職や従業員には大きな裁量が与えられた。
松下は、若い頃に自分がぶつかった官僚主義的な組織の仕組みを取り除こうとしたのだ。
パナソニックの事業部制は大成功を収め、日本企業の多くがそれに追従することになる。
やがて、松下は「経営の神様」と呼ばれるようになった。
1989年に他界したとき、パナソニックは世界最大規模の家電メーカーに成長していた。
なぜ「キャリアアップ戦略」のお手本なのか?
松下幸之助の物語は、私たちがキャリアアップを続けるためにどのように戦略を転換していかなければならないかについての格好のお手本である。
つまり、お金を稼ぐためにある時点でしていることが、別の時点では意味をなさなくなる場合があるということだ。
たとえば私は高校生の頃、父がリサイクル用の空き缶を集めるのを手伝っていた。
カリフォルニア州の施設に持っていけば、1缶当たり5セントもらえる。数袋分集めれば、40ドルから50ドルになった。
しかしその後、社会人になり、スキルを高めていくにつれ、私の収入は飛躍的に上がっていった。
今日では、空き缶集めに費やす時間と労力は、もはや私にとってそれに見合う経済的価値をもたらさない。
松下も、キャリアを積み重ねていく中で、同じ気づきを得ていた。
最初は従業員として働き、次に自ら会社を立ち上げ、その会社を成長させていった。
その過程で、戦略を変えていかなければならなかった。
もし松下が検査員としての最初の仕事にとどまっていたら、それ以上の進歩はなかっただろう。
事業部制を導入していなかったら、彼の会社は成長しなかった。
松下はそのキャリアを通して成長を続け、収入を増やすために常に視点を変えていかなければならなかったのである。








