円安・物価高が止まらず、手取り収入は減るばかり。住宅ローン金利も上昇し、都心での新築戸建は夢のまた夢。一体全体、お金の問題、どうすりゃいいのか?
そんな時、強い味方になってくれる本がある。令和のベストセラー『お金の大学』著者・両学長に絶賛されている『THE WEALTH LADDER 富の階段 ―― 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』だ。本書をもとに「年収1億でも一生買えないもの」についてライターの前田浩弥氏が特別配信する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

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ある売れっ子劇作家の「願望」

「年収1億」。一度きりの人生、一度は味わってみたいものだ。
 だが、どんなにお金を持っていても、買えないたった1つのものがある。
 本当の幸せとは何か。今回はそれにまつわる話をしたい。

 大学時代、ある売れっ子劇作家と、酒を飲みながらお話しする機会があった。
 その劇作家は当時、売れっ子だけあって、世間的には文句なく「お金持ち」のカテゴリーに属し、稼ぎに稼いでいた。しかし同時に、あまりにも多忙だった。

 劇作家は私にこぼした。

1日でいいから休みがほしい。1日の休みを10万円で買えるんだったら、私は喜んで買う

 当時、暇の権化かつ貧乏の権化だった私は、ぜひとも劇作家に、自分の1日を10万円で売りたいと思った。しかしそれは叶わない。ここに明確な「需要」と「供給」があるというのにだ。世の中はなんて理不尽なんだと思った。

どんな「金持ち」にも買えないものとは?

 その劇作家は決して、「お金のため」だけに仕事をしているわけではなかった。
 自らつくり出す作品を愛し、自ら愛せる作品をつくり出すために、時間や労力を惜しまず仕事に熱を込めていた。だからこそ、次から次へと仕事が舞い込んできていた。

 ただ、同時に、劇作家は確かに、休みを欲していた。これも事実だ。
 どれだけ仕事を愛している人でも、たまには休みがほしい。当然の願いだろう。
 しかしその願いは、少なくとも、私と酒を酌み交わしてから向こう数年は叶いそうになかった。

 どんな金持ちにも、買えないものがある。
 それは「時間」だ。
 私はこのとき、初めて実感した。
 そして、「お金持ちが、多額のお金を出してでもほしいのに、買えないもの」を、貧乏学生である自分が有り余るほど持っている事実を不思議に思った。

時間は「これ以上増やせない唯一の富」

『THE WEALTH LADDER富の階段』は、数万世帯の50年以上にわたるファイナンス情報を分析したデータから、「お金持ちになる人にはどんな共通点があるのか」「資産が増えていく過程でどんな落とし穴があるのか」を探る稀有な一冊だ。

 その中で著者のニック・マジューリは、「富」を、お金を源泉とする「経済的な富」に限定せず、人とのつながりから生まれる「社会的な富」、心の充実を意味する「精神的な富」、健康という「身体的な富」、自分の時間を自由に使える「時間的な富」という「5つの富」を掛け合わせた総量であると記している。

「時間的な富」を記している部分に、こんな一節がある。

何をするにしても、時間の使い方に意識を向けよう。
なぜなら、時間は「これ以上増やせない唯一の富」だからだ。

――『THE WEALTH LADDER 富の階段』より

「時間をつぶす」という表現がある(英語で「kill time」)。
 しかし、ただただ無為に、次の予定までの時間をやり過ごすのは、『THE WEALTH LADDER富の階段』の考えに基づけば、富を投げ捨てているようなものだ。

『THE WEALTH LADDER 富の階段』は、お金を増やすための戦略を授けてくれる本でありながら、人生を豊かにしていくためにはどのような考え方が必要かも教えてくれている。