円安・物価高が止まらず、手取り収入は減るばかり。金利も上がり教育にも金がかかる。一体全体、お金の問題、どうすりゃいいの?
そんな時、強い味方になってくれる一冊の本がある。令和のベストセラー『お金の大学』両学長に絶賛されている『THE WEALTH LADDER 富の階段 ―― 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』だ。本書をもとに「年収1億円に溺れる人の盲点」についてライターの前田浩弥氏が特別レポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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「年収1億円」を目指す人へ伝えたい話
物価高が止まらない。これからもますます上がっていきそうだ。
そんな中、書店に行くと、「年収1億円」というタイトルに惹かれ、つい手に取ってしまう。そんな人も少なくないかもしれない。
今回は、そんな方たちとシェアしたい話がある。
古代ギリシアの神話に、ミダスという名の王が登場する。
ミダスは富への執着が強い王様だった。黄金をこよなく愛していた。
そして、世の中のすべての富は、王である自分が独占すべきだと考えていた。
ある日、ミダスは、ディオニューソスという神様の養父であるシーレーノスを助ける。
これに感謝したディオニューソスは、その証として、ミダスが望む願いはなんでも叶えてあげようと提案する。
黄金が好きなミダスは、「触れるものすべてを黄金に変える力がほしい」と頼んだ。
ディオニューソスは、ミダスの望みを叶えた。
ミダスはとても喜んだ。木の枝に触れれば黄金に変わり、石ころに触れても黄金に変わる。
「ついに自分は、世の中でいちばんの富を手に入れたのだ」と悦に入った。
「触れるものすべてを黄金に変える力」と引き換えに手放したもの
しかし、ミダスが違和感を抱くのに時間はかからなかった。
食べ物に触れれば、黄金に変わってしまって食べられない。水も酒も黄金に変わってしまう。時間をかけて育てて愛でていた庭のバラも、すべて黄金になってしまった。
そしてついには、愛する娘までも、触れた瞬間に「黄金の彫像」に変わってしまった。
ミダスは「触れるものすべてを黄金に変える力」を手に入れ、望んでいた通り「世の中でいちばんのお金持ち」になったのだが、それと引き換えに、人生における一切の楽しみを手放さざるを得なくなってしまったのだ。
ミダスはディオニューソスに泣きつき、自分の体を元通りに戻してもらったところで、この話は一段落を迎える。
「富」とは何なのだろう。
私たちは、「資産が増えれば、人生は豊かになるはずだ」と考える。
もちろんそれは、必ずしも間違いではない。お金は大切だ。生活の不安を減らし、好きなものを買い、行きたい場所へ行くために、経済的な余裕は欠かせない。
しかし、「資産が増えること」と「人生が豊かになること」は、完全に一致しないのかもしれない。
仕事で成功して十分なお金を得ても、家族や友人との関係が壊れていたらどうだろう。
あるいは、大きな資産を築いても、その道中の無理がたたり、健康を損なってしまったとしたら。
お金はあるのに仕事に追われ、自分のために使える時間がほとんどなかったとしたら。
本当の豊かさとは「5つの富」のかけ算!
『THE WEALTH LADDER 富の階段』では、5種類の「富」を紹介している。
お金を源泉とする「経済的な富」、
人とのつながりから生まれる「社会的な富」、
心の充実を意味する「精神的な富」、
健康という「身体的な富」、
そして自分の時間を自由に使える「時間的な富」だ。
そのうえで、「経済的な富」の価値を、こう記している。
――『THE WEALTH LADDER 富の階段』より
まさにミダスが反面教師である。
ミダスは無限大ともいえる「経済的な富」を手に入れたが、それと引き換えに、他の一切の富をゼロにしてしまった。
「どんな数字にゼロを掛けても、ゼロでしかない」。
おいしいものを食べることも、愛する人と過ごすこともできなくなるのだとしたら、自らの手で生み出される黄金に、どんな意味があるというのだろう。
資産を増やすことは、人生を豊かにするための手段であり、豊かさそのものではない。
『THE WEALTH LADDER 富の階段』は、「本当の豊かさ」とは何かを考え直すきっかけを与えてくれる一冊だ。








