SNS大手のミクシィ(mixi)が詳細を明らかにした「mixiアプリ」が注目を集めている。この試みは、外部の企業や個人が独自のアプリケーションを開発し、mixiユーザーに向けて提供することができるというもの。

 4月に開催された「mixiアプリ カンファレンス 2009」では、バンダイナムコゲームス、リクルート メディアテクノロジーラボ、ロックユーアジアなどが、オリジナルのソーシャルアプリを発表。同時期に個人開発者向けのオープンβ版も公開されており、こちらは既に400本を超えるアプリがアップされている。

オープンβ版で一番人気の「ネギ振りカウンタ」。現在は「お遊び系」のアプリが目立つが、そのポテンシャルは未知数だ。

 これまで、mixiでのコミュニケーションを担ってきたのは、ユーザー自身と「マイミク」と呼ばれる友人知人の書き記す「日記」であった。お互いの日記を読みあい、コメントを返すことで、より親睦を深めることができるわけだが、それが逆に「日記を書き続けなければ……」といった強迫観念を生むこともある。「mixi中毒」「mixi疲れ」なる言葉の由縁である。

 だが「mixiアプリ」の登場により、ユーザーは「日記」以外でもマイミクとのコミュニケーションを愉しむことができるようになる。オンラインゲームでネット対戦という利用法が最も人気を呼びそうだが、ちょっとした遊び心をくすぐるアプリも多数登場しそうだ。

 例えばバンダイの「バースデイケーキ」は、みんなで協力してマイミクの誕生ケーキを作るというもの。あるいは、リクルート メディアテクノロジーラボの「みんなで禁煙マラソン」などのように、マイミク同士で目標に向かって努力するといったアプリもある。

 開発者側のインセンティブとしては、課金システムの導入のほか、アプリのページビューに応じて報酬を受け取ることのできるプログラムも提供される。加えて、開発者向けに出資・融資・「mixiアプリ」の買い取りを行う「mixiファンド」も設立しており、第一弾として「コミュニティファクトリー」社への出資を発表している。また「ソーシャルアプリケーション アワード」と冠したアプリコンテストも、7月より開催予定だ。

 アプリが充実すればそれだけユーザーの滞在時間も増えるし、新たなウェブマーケティングを展開することも可能となる。いち早くアプリを導入してユーザー数を増やしたアメリカのSNS「Facebook」の成功事例があるだけに、mixiの力の入れようは並々ならぬものがある。正式稼動は8月からということだが、新たな方向へ舵を切ったmixiが、再び“中毒者”を増産することができるのか、括目して待ちたい。

(中島 駆)