単一国ブームとは違う!投資家が「新興国全体」を幅広く買い始めた理由とは?【投資信託の最前線】

米国など先進国株中心だった日本の個人投資家の動きに、いま明確な変化の兆しが表れています。過去に遡っても新興国投資といえば「インド型」など特定の単一国にスポットが当たることが多かったのですが、足元で起きているのは「新興国全体(グローバル)」を幅広く買う異例の動き。2026年4月の資金流入額は過去5年間で最高水準となる1378億円に到達。長年見過ごされてきた新興国株に、なぜこれほど高水準のマネーが動き出したのか。前回に続いて、最新の市場データと経済見通しから、その背景にある理由を解き明かします。

新興国株式への追い風は5月も継続
5カ月連続の資金流入で「過去5年最高」を記録

 前回の連載「新興国株式に2年ぶりの追い風?米国株偏重から分散投資へ、投資家心理に変化の兆し」では、国内の投資信託市場において、新興国株式型投資信託に資金流入の兆しが見られることを取り上げました。2026年5月に入ってからも、新興国株式の好調な成績を背景に、こうした動きは継続しているようです。

 新興国株式型は、単一国に投資するもの、アジアや欧州といった地域の新興国に特化したもの、そして幅広く新興国株に投資するものなどがあります。その中でも、今回の局面では、特に新興国株式全体(グローバル)に投資するタイプへの資金流入が目立っています

 新興国株式型への資金フローは、4月に10カ月ぶりの資金流入に転じ、2024年7月以来の高水準となりました。その中で、新興国株全体に投資するタイプの投資信託は5カ月連続の資金流入となっており、4月の資金流入額は1378億円に到達。これは過去5年間で見ても最高水準の規模です。

テクノロジーセクター主導で相場が好転
先進国の「2倍超」の成長率が呼び込む個人マネー

 こうした資金流入の背景にあるのは、やはり新興国株式の成績が改善してきたことにあります。それも特定の国が主導する形ではなく、新興国の「テクノロジーセクター」が主導する相場上昇であったため、市場全体の上昇を捉えたいという動きが強まったものと考えられます。

 過去10年ほどの投資信託市場を振り返ると、高い経済成長への期待から単一の新興国株式への注目が集まる場面はありましたが、市場全体がこれほど注目される動きは見られませんでした。しかし足元では、新興国株式が先進国株式を上回る成績を記録しており、改めて、そして久しぶりに新興国全体の成長性の高さにスポットライトが当たっています。

 2026年4月に国際通貨基金(IMF)が公表した最新の経済見通しによれば、目先の新興国の経済成長率は、先進国の2倍を超える成長率となることが見込まれています。

 長い期間にわたって新興国株投資が見過ごされてきたことで、日本の投資信託市場における同資産への配分は限定的なものにとどまっていました。しかし、先進国株への偏重から脱却し、真の分散投資を模索する中で、新興国株式型への関心は今後さらに高まっていくものと思われます。

藤原延介さん藤原延介(ふじわら・のぶゆき)●1998年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。マーケティング部 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応大学経済学部卒。
◆投資信託の最前線
20年超にわたって投資信託動向を分析してきた藤原延介氏が、投資信託の最新動向やニュースを取り上げて、わかりやすく解説! 2024年から大幅拡大したNISAでは、投資信託での運用が不可欠に。でも「どうやって選べばいいの?」「組み合わせ方法は?」などわからない人も多いのでは? このコラムで投資信託の売れ筋やトレンドの変化をチェックすることで、投資信託の選び方や資産運用法などが見えてきます。
ダイヤモンド・ザイ NISA投信グランプリとは
ダイヤモンド・ザイでは1年に1回、「NISAで買える本当にイイ投資信託」を部門別にランキングし、上位のファンドを表彰している。当グランプリの特徴は、みんなが買っている分野で、5年以上の運用実績がある投信に限定し、1.どれだけ上がったか(上昇率)、2.どんな時も下がらない(下がりにくさ)、3.ずっと優等生(成績の安定度)の3つの基準で選定している点。完全な実力主義で評価し、「個人投資家にとって本当にイイ投資信託」かという点にこだわっている。

<ダイヤモンドZAi NISA投信グランプリ2026>
[2026年]受賞投資信託28本一覧

日本株総合部門
日本中小型株部門
米国株部門
世界株部門
新興国株部門
リート部門
フレッシャー賞
もっとがんばりま賞
(番外編)インデックス型「最安ランキング」
▼当グランプリの「選定基準」はこちら⇒https://diamond.jp/articles/-/388103

本記事は2026年5月30日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。