岩田彰一郎

起業してビジネスが軌道に乗ったら、次なるステージを目指して新事業を展開しようと経営者は考えるもの。しかし、むやみに事業領域を広げることで失敗するリスクもある。小さな文具通販会社から始まり急成長を遂げたアスクルの創業者が、事業領域を広げて成功するコツを語る。※本稿は、実業家の岩田彰一郎『起業家になる前に知っておいてほしいこと 経営の難問を乗り越えるたった一つの考え方』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

安易に事業領域を広げても
うまくいく保証はない

 最初に立ち上げた事業の売上が伸びてきた時、次に経営者が考えることは「事業領域をどのように広げていくか」ではないかと思います。狭い事業領域だけで成長するのは限界がありますから、事業領域を広げていきたいと考えるのは自然なことです。

 また、最近は技術の進化や環境の変化が速く、今の事業のニーズが急速に失われることも珍しくありません。そうしたリスクに備えて、事業を広げていきたいという考えもあるでしょう。

 とはいえ、事業領域を広げていくのは簡単なことではありません。土地勘のない分野に進出するのはリスクが高いので、隣の分野に広げていくことが一般的ですが、隣の分野だからといって、そこでもうまくいく保証はありません。

 また、事業領域を広げると、ヒト・モノ・カネの経営資源が分散されてしまい、どの事業も中途半端になるリスクもあります。

 しかし、今の事業だけの「一本足打法」ではリスクが高い。ひとつのビジネスがうまくいっても、経営者の悩みは尽きません。