ダメな上司ほど、部下のAI活用を細かく制限する
――そうなると、上司が変に部下のAIの使い方を限定してしまうことがマイナスになってしまう恐れもありそうですね。ますます、AIに関する指導が成立するのかどうか悩ましくなりますが……
加藤 AIに関する指導とは何か、という話かも。
経験が少ないと全体像や大局はわからないこともあるでしょう。一方で、上司という存在は部下よりも視点が高くて視野が広いわけですから、見えている景色が全然違うはず。ゆえにAIを使うべきポイントが見えるはずなんですよね。
つまり「こういうプロンプトにして」といった細部じゃなくて、視座高くアドバイスや指示をできるのが上司。
AI時代の上司に必要なのは「抽象度の調整」
加藤 細部じゃなくて視座高く、と云い換えると「具体と抽象の調整」が重要なスキルの1つになるのでは。
これまでの経験から「この仕事は全部で5つ階層があるな」と把握した上で、第1階層にいた部下が第3階層まで来た時に、最上階層から見たら「指示の方向性は◯◯じゃない?」と教えてあげるような。
業務における階層感、抽象度の違いが分かると、過程であるAIへの指示、プロンプトの出来が変わる。そんなイメージです。
どんなお題であれ、具体と抽象の間の階層を意識しながら、部下に指示を出していけるかどうかが、これからの上司力として大事なんじゃないか、と勝手に思ってます。
上司としても、成果だけじゃなく過程を含めた「戦術」のレイヤーでAIを使えるかが問われている状況から、「戦略」のレベル、どこでどの程度深く使うか、の指示を出せるかどうかも求められる時代になってくるのかな……。
石井 AIによって部下のアウトプットは増えるし、そのアウトプットの過程まで上司は見て評価しなくちゃいけない。
その上で、戦略レベルでAIの使い方を指示しなくちゃいけない。
AIがプロセスに入ってくることで、多分上司の仕事は増える。そして、具体と抽象を行き来できることが、より重要になる。ということですね。
(本稿は、書籍『AIを使って考えるための全技術』著者の石井力重さんと、監修者の加藤昌治さんによる対談をもとに作成したオリジナル記事です。)
アイデアプラント代表。早稲田大学 非常勤講師(デザイン論)。日本創造学会 元理事およびデジタル推進委員会 委員長
東北大学大学院修了後(理学修士)、ハイテク専門商社に5年勤務。同大2つの大学院(工学、経済学)博士後期課程にて創造工学を研究後に退学。新エネルギー・産業技術総合開発機構のNEDOフェローとして大学発ベンチャーに3年駐在。2009年にアイデアプラント設立。創造工学の研究、ブレインストーミング・ツールの開発、アイデアソンのデザインとファシリテーション、創造研修などをしている。研修を実施した企業、教育機関はこれまでに600以上で、のべ2万人以上が参加。実施企業は、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなど。
1994年広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』『チームで考える「アイデア会議」 考具 応用編』『アイデアはどこからやってくるのか 考具 基礎編』(すべてCEメディアハウス)、『仕事人生あんちょこ辞典』(角田陽一郎氏との共著、KKベストセラーズ)など、ナビゲーターを務めた書籍に『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社)がある。









