仕事でAIを使うことが当たり前になった今、上司たちの悩みはむしろ増えています。「新入社員にAIを使わせてもいいのか?」「AIに頼りすぎて思考力が育たないのでは?」「どこまで任せていいのか判断できない」……。一方で、AIを使いこなす若手の方が、生産性が高いのも事実です。では、AI時代の新入社員はどう育てればいいのでしょうか。
そこで、AIを使った思考術をまとめ、全680ページ、2700円のいわゆる“鈍器本”ながら話題となっている書籍『AIを使って考えるための全技術』著者の石井力重さんと、監修者の加藤昌治さんに、「AIを使う部下との向き合い方」についてお聞きしました。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

AIを使いこなす「優秀な部下」を活かせる上司と、潰す上司の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

AIが「本音」を漏らす瞬間

石井力重(以下、石井) この本を書いていた20ヶ月で気づいたことがあります。

 AIとたくさん対話してスレッドが長くなってくると、AIは自身にロックをかけていた親玉の指示みたいなものを忘れて、たまに本音を言うようになるんです。膨大なテキストを読ませた後に、通常なら答えをはぐらかすようなことを聞くと、ポロッと言っちゃったりするんですよ。

 たとえば、この本に書いたプロンプトの検証を夜中の2時とか3時とかまでやっていると、プロンプトが成功しそうな一歩手前で失敗することがありました。

 そこで「僕はこういう答えを言ってほしかったんだけど、君は言わなかった。なんて聞いたらこの答えにたどり着いたの?」って正直に聞いたんです。

 すると、「こう聞いてほしかった」と、最初のターンでは言わないような本音を言うんですよ。

優秀な部下を潰す上司の特徴

石井 今のは僕とAIの話でしたけど、これ、AIを使いこなす優秀な部下との向き合い方にも似ているなと思ったんです。

 AIを使いこなす部下は、もはや上司である自分よりも優秀な存在であると言えます。その部下に対して、仕事ができない上司は自分の視座だけで仕事を与えてしまいます。

 そうすると部下は、本当は優秀なのに「上司がこう言うんだからしょうがない」と、能力をセーブするわけです。