誕生50周年記念ベルサイユのばら展の展示ベルサイユのばら展 Photo:SANKEI

1970年代は『ベルサイユのばら』や『エースをねらえ!』など、後世に語り継がれる名作恋愛少女マンガが次々と誕生した時代。そこに描かれた恋愛は、男女の恋にとどまらず、歴史や時代背景とも深く結びついていたという。70年代少女マンガを代表する作品を読み解きながら、当時の若者たちが憧れた「愛」のかたちを探る。※本稿は、評論家の長山靖生『恋愛少女マンガ全史――ラブコメと若者文化の変遷を探る』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

1964年の東京オリンピック以降
少女漫画界を席巻したジャンル

 70年前後からは西谷祥子を筆頭に、忠津陽子や大和和紀、くらもちふさこらによるラブコメが全盛となり、さらにおとめちっくなど様々なラブコメの流派が人気を得ていきますが、壮大な背景を背負った大ロマンも消えたわけではありません。

 その流れを引き継いだのはスポ根的な戦いのドラマであり、歴史に材を取った大河ロマンでした。

 スポ根は、恋愛よりも自身が目指すジャンルでの達成を求めて邁進するジャンルです。1964年の東京オリンピックにおける日本女子バレーボールの活躍などにより、バレー人気が高まったことを受けて、浦野千賀子『アタックNo.1』(『週刊マーガレット』1968~70年、以下「週マ」)が大人気となり、各誌にバレー物が登場。望月あきら画・神保史郎原作『サインはV!』(『週刊少女フレンド』68~70年、以下「週少フレ」)も大人気となりました。

 翌69年には青池保子画・一ノ木アヤ原作『ラケットに約束!』(『週少フレ』~70年)もはじまりますが、この作品では男女の恋愛も描かれています。