物価高が止まらない。金利も上がっている。これからの投資戦略をどうすればいいのか?
今、『お金の大学』両学長に絶賛されている投資・マネー本がある。ベストセラー『JUST KEEP BUYING』の著者ニック・マジューリ氏が書いた全米ベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段――資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』である。今回は「働く時間が減るのに富が増え続ける人の特徴」について、本書の一部を抜粋して特別公開する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

「働く時間が減るのに富が増え続ける人」の特徴・ベスト1Photo: Adobe Stock

「富の階段(ウェルス・ラダー)」という
新しいフレームワーク

 本書では、6つの資産レベルに分けた「富の階段(ウェルス・ラダー)」という新しいフレームワークを紹介した。

 ここで言う「資産」とは、資産から負債を引いたものだ。
 つまり資産とは、あなたが持っているすべての「資産」(不動産資産、金融資産、現金等)から、すべての「負債」(住宅ローン、学資ローン、クレジットカードローン等)を差し引いたものだ。

・レベル1(資産1万ドル〈約150万円〉未満)――生存戦略
・レベル2(資産1万ドル〈約150万円〉以上~10万ドル〈約1500万円〉未満)
――教育&スキル戦略
・レベル3(資産10万ドル〈約1500万円〉以上~100万ドル〈約1億5000万円〉未満)
――投資戦略
・レベル4(資産100万ドル〈約1億5000万円〉以上~1000万ドル〈約15億円〉未満)
――起業戦略
・レベル5(資産1000万ドル〈約15億円〉以上~1億ドル〈約150億円〉未満)
――事業拡大戦略
・レベル6(資産1億ドル〈約150億円〉以上)――資産防衛戦略

 各レベルは10倍で区切られている。
 下の図表は、これらの資産レベルとそれぞれの資産総額を示したものである。

図表

「1%ルール」に基づくキャリア選択

 本書では、1%ルールに従って富の階段を登っていく際に検討すべき、キャリアの選択肢をいくつか紹介した。

・レベル1(資産1万ドル未満)――時給労働。資産の1%=10ドル以上~100ドル未満
・レベル2(資産1万ドル以上~10万ドル未満)――技能労働。資産の1%=100ドル以上~1000ドル未満
・レベル3(資産10万ドル以上~100万ドル未満)――キャリアアップ、副業、少額投資。資産の1%=1000ドル以上~1万ドル未満
・レベル4(資産100万ドル以上~1000万ドル未満)――キャリア転換、起業、中規模投資。資産の1%=1万ドル以上~10万ドル未満
・レベル5(資産1000万ドル以上~1億ドル未満)――事業拡大、大規模投資。資産の1%=10万ドル以上~100万ドル未満
・レベル6(資産1億ドル以上)――企業体(エンタープライズ)の構築、大規模投資。資産の1%=100万ドル以上

 このように、富の階段を登るにつれ、断るべき収入機会の種類は増えていく。
 レベル1であれば、50ドルや100ドル程度の仕事をすることに抵抗がないかもしれない。しかし、レベル2以上になれば、それより良い収入機会に目を向けるべきだ。

 次に、富の階段を登るにつれ気づくのは、お金のために働く時間が減り、お金を働かせる時間が増えていくようになることだ。

 たとえば、投資で資産を増やすことや、起業して人を雇うことなどである。
 
 では、富の階段のレベル1からレベル5で、収入に関する意思決定がどう変化するかを簡単に見ていこう。

レベル1の選択

 レベル1(資産1万ドル未満)では、副業や単発仕事(ギグワーク)など、副業をしながらスキルを磨く機会があれば、積極的に活用すべきだ。

 レベル1からレベル2(資産1万ドル以上~10万ドル未満)に進むにつれ、懸命に働くことより、賢く働くことがポイントになってくる。

 ギグワークや副業はレベル1から抜け出すには役立つが、レベル2から抜け出すにはあまり役に立たない。

レベル2の選択

 レベル2では、時間当たりの単価を高くするためにスキルを磨くことが重要になってくる。

スキルを高める方法は、仕事の種類に応じて様々なものがある。職場で研修を受けることも、自由時間に独習することもスキルアップに役立つ。

 スキルを身につければ、高収入の仕事に就く、フリーランスとして高い料金を請求できるといったことが可能になる。
 他にも方法はあるが、レベル2から抜け出すための一般的な方法はスキルアップだと言える。

レベル3の選択

 レベル3(資産10万ドル以上~100万ドル未満)では、キャリアアップ、副業、少額投資が収入に大きな変化をもたらす。

 ここでは、資産の1%、つまり1000ドル以上~1万ドル未満増えることを決断の基準にすべきだ。昇進や本格的な副業を始めることがこれに該当する。その結果、貯蓄できる額がさらに増えていく。

 たとえば、家庭教師で副収入を得るのは、レベル1からレベル2に移行する際には優れた戦略になる。
しかし、レベル3を目指す場合、もっと本格的な副業に取り組むべきだ。
 自分で家庭教師ビジネスを始め、サービスを宣伝したり、他の家庭教師を雇ったりするなどが考えられる。

レベル4の選択

 レベル4(資産100万ドル以上~1000万ドル未満)に達したら、キャリア転換、起業、中規模投資が収入を増やす最善策になる。

 高収入が得られる会社に転職できれば、年間1万ドル以上の昇給も十分に期待できる。

 また、1万ドル以上の昇給を目指すのに、レベル4に到達するのを待つ必要はない。
 この戦略の唯一の問題点は、永遠には繰り返せないことだ。

 同じ企業内での昇進やキャリア転換には限度がある。多くの業界では上限に近づくと、それ以上の金銭的報酬は期待しにくくなる。

 この段階に達すると、永遠にレベル4から抜け出せなくなる可能性がある。

 昇給やキャリア転換のみで次の資産レベルに到達するのは極めて難しくなる。
 そのため、さらに富の階段を登るための現実的な方法は、ビジネスを所有することになる。多額の収入が得られるか、将来的に高額で売却できるビジネスを立ち上げるかなど、経営に参画する必要がある。

 あなたがどれほど高給取り(たとえば年収50万ドル)であっても、給与所得だけではレベル4から抜け出すのは難しい。

 これは実際に計算してみればすぐにわかる。

 たとえば、あなたの年収が50万ドルで、税金や生活費を差し引き、年間20万ドルを貯蓄できるとする。

 このシナリオでレベル4(資産100万ドル以上~1000万ドル未満)に達したと仮定すると、レベル5(資産1000万ドル以上~1億ドル未満)に到達するにはどれくらいの時間がかかるだろう?

 年利回り5%で計算すると、21年以上だ。
 そう、年間20万ドル貯蓄し、年5%の利回りで運用しても、レベル4からレベル5に移行するには21年もかかるのだ。
 年利回り10%で計算しても、15年近くかかる。

 したがって、レベル4から抜け出したいなら、自分が働いて給料を得るより、はるかに大きな収入が見込めるビジネスを始めるか、経営に参画する必要がある。

 このルールには例外もあるが(たとえば、スタースポーツ選手や芸能人などの莫大な収入を得ている人)、それはごく稀だ。

 レベル5のほとんどの人は、資産のかなりの部分をビジネスに投資しているか、過去に投資していた。

レベル5の選択

 レベル4に当てはまるロジックは、レベル5ではさらに当てはまる。

 資産が1000万ドル以上に達したら、次のステップに進む唯一の方法は、ビジネスを立ち上げるか、ビジネスの規模を拡大することだ。

 シンガーソングライターのリアーナが化粧品ブランドのフェンティビューティーを設立し、俳優のジョージ・クルーニーがテキーラブランドのカーサミーゴスを立ち上げた(後に売却)のも、まさにこのためだ。

 彼らは、歌や映画で稼ぐよりも、ビジネスのほうが多くの利益を得られることに気づいたのだ。その後も、他の著名人もこれに倣っている。

 とはいえ、必ずしも自分でビジネスを創業する必要はない。既存のビジネスの経営に参画し、成長させることも可能だ。

 実業家のメグ・ホイットマンがeBay(イーベイ)で、同じく実業家のハワード・シュルツがスターバックスで富を築いたのは、このパターンに該当する。

 彼らはこれらのビジネスを自分で始めたわけではないが、大きく成長させることに貢献した。もちろん、ビジネスを成長させるのは難しい。
 成功するにはハードワークだけでなく、ある程度の運も必要になる。