老眼にも有効?中国発の近視治療法「レッドライト療法」とは…眼精疲労と調節力を改善Photo:PIXTA

 レッドライト療法(RLRL)は、中国発の近視の治療法で、650nmの長波長の赤色光を近視眼に照射し、眼の表面の角膜から網膜までの長さである「眼軸長(眼の奥行き)」の過度な伸展を抑えることで、網膜の手前で入力像のピントが合ってしまう「近視」を予防する治療法だ。現在、オーストラリアの企業がRLRL治療デバイスを提供しており、同国と中国はもちろん、EU(欧州連合)と東南アジアの一部でも承認されている。

 近視の8~13歳の小児を対象とした臨床試験では、自宅に貸し出されたデバイスを使って1日2回、3分間の照射を毎週5日間、12カ月間続けた結果、RLRL群は対照群と比較して眼軸長の伸びがおよそ7割抑制され、2割以上の子供で眼軸長が0.05mm以上縮んでいた。また裸眼視力も有意に改善した。

 日本では未承認だが、一部の眼科では自由診療の枠で小児の近視治療に利用されている。

 RLRLの機序としては、赤色光照射によって眼球に栄養と酸素を提供する脈絡膜の血流が増加し、眼軸の“たるみ”に抵抗する強膜コラーゲンなどが回復すると考えられている。そこで研究者らは「これ、加齢で脈絡膜が薄くなっている老眼の人にも効くかも?」と思いついた。

 今年4月に報告された40歳以上(平均年齢51歳)の老眼の人を対象とした試験では、近視治療と同じデバイスを使い、1日2回の3分間照射を1カ月間実施。ただし小児が週5日間の照射だったのに対し、老眼の試験では毎日、照射を行ってもらった。

 その結果、老視にともなう眼精疲労が有意に改善。また、加齢とともに低下するピントの調節力――いきなり手元を見てもピントをしっかり合わせるための調節振幅も有意に改善されたのだ。ただし、これは老眼がまだ軽い人のケースで、高度な老眼では改善は示されなかった。研究者は新しい老眼治療の確立に向けた臨床試験の必要を訴えている。

 老眼はやむを得ない生理現象だが、何かと面倒なうえに、視覚の障害は将来の認知症リスクにもなる。医療的な矯正手段は老眼レーシック手術や眼内レンズ挿入術などに限られるため、手軽な治療法に期待が集まりそうだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)