眼科医が警告する 視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと写真はイメージです Photo:PIXTA

年齢を重ねて視力が落ちてきたとき、老眼になったと決めつける人は多い。しかし、別の重篤な疾患の可能性があるため、40代以降の視力低下を放置するべきではないとして、著者の眼科医は検査の必要性を呼びかける。本稿は、平松 類『眼科医が警告する 視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと』(SB新書)の一部を抜粋・編集したものです。

「40代の視力低下=老眼」ではない場合も
別の病気の可能性も考えるべき

 老眼は加齢現象で、年齢を重ねればやがて誰の身にも起こることであり、ひとたび老眼が出たらもう諦めるしかない。そんな認識の方が多いようですが、少しでも快適な老後を過ごしたいのなら、40代以降の視力低下を放置するべきではありません。

 今、あえて「40代以降の視力低下」という表現をしたことには理由があります。

「老眼=加齢現象」という印象が強いせいで、40代以降に視力が落ちてくると、多くの人は「ついに老眼が出た」と決めつけてしまうのですが、実は、老眼ではない可能性もあるのです。

 そのことを理解していただくために、まず「老眼」とはどういう状態かを説明しておきましょう。

 ひとことでいえば、老眼は「手元が見えなくなること」です。つまり「遠くはハッキリ見える」わけです。「老いた目」という呼び方が誤解の元なのですが、老眼とは「眼球が老いて、視力が総合的に落ちてくること」ではありません。

 ですから、もし遠くも近くも見えなくなってきたのなら、それは老眼ではなく、何か別の病気である可能性を考えなくてはいけません。

 ちなみに「近視」は「近くが見えて遠くが見えづらいこと」、「遠視」は弱ければ遠くも近くも見えますが、ある程度になると「遠くが見えて近くが見えづらいこと」を指します。遠くも近くも見えないのはやはり近視でも遠視でもなく、別の病気の疑いがあるのです。

 さて、以上の知識を踏まえて「40代以降に手元が見えづらくなってきた。これは老眼だ」となったら、どうするのがいいでしょうか。「老眼になったら、もう諦めるしかない」というのは勘違いです。

 老眼は、もちろん放っておけばどんどん進行します。しかし、一切なすすべもなく、進行するに任せていいものではありません。