ビジネス書を読み、セミナーに通い、最新トレンドも追っている。なのに、なぜか成果につながらない――その原因は、意外なところにあるのかもしれません。話題の書『AIで終わる人 AIで化ける人』(中平健太・著、ダイヤモンド社)から読み解く。

AIで終わる人Photo: Adobe Stock

「いい話を聞いた」で、終わっていませんか

本を読んで「勉強になった」。セミナーで「いい話を聞いた」。
そうして満たされた気持ちになり、いつのまにか満足してしまう。
そんな心当たりは、ないでしょうか。

情報は、スマホひとつでいくらでも、しかも安く手に入る時代です。
だからこそ私たちは、ひたすら“食べる”ことに、時間を使いがちになります。
その状態を、料理にたとえた一節があります。

しかし、情報をどれだけ大量に摂取しても、それを自分なりに料理して世に出さない限り、
あなたは「カロリー(情報)を摂取しただけで、エネルギー(価値)として燃焼していない状態」です。
これは、現代人特有の病として「知的メタボ」と呼べるのではないでしょうか。


――『AIで終わる人 AIで化ける人』より

どれだけ良い情報を取り込んでも、自分なりに調理して外に出さなければ、カロリーを摂っただけで、エネルギーとしては燃えていない――。
なかなか耳の痛い指摘です。
しかも、世界でいちばんの“物知り”は、もう人間ではなくなりました。
知っているだけでは、差がつかない時代になっているのです。

「百の議論」より「一の試作」

たとえば「働き方改革を進めよう」という会議。
「まずは定義から」と議論を重ね、一か月たっても何も決まらない――そんな光景に、覚えはないでしょうか。

その一方で、改革に成功した一年後のオフィスの様子を一枚の絵にして、さっとテーブルに置く人がいる。
とたんに「これは違う」「こっちはいいね」と具体的な反応が飛び交い、その日のうちに方向性が定まっていく。

求められているのは、知識をたくさん抱え込むことではなく、それを形にして、目の前の誰かの役に立てることです。
情報を消費する側から、価値を生み出す側へ。腕を組んで「認識を合わせよう」と言う前に、未完成でもかまわないので、何かひとつテーブルに置いてみる。
その小さな一歩が、停滞した空気を動かしはじめます。

(本記事は、書籍『AIで終わる人 AIで化ける人』を一部抜粋、編集したものです。)

中平健太(なかひら・けんた)
株式会社ガラパゴス 代表取締役社長
早稲田大学理工学部卒業後、プロセス改善コンサルティングファームを経て2009年に創業。100を超えるスマホアプリ開発などを行うなかでデザイン産業の課題に直面し、いち早くAI技術の研究開発をスタート。2019年にAIを活用したクリエイティブ制作・改善サービス「AIR Design」をリリース。同サービスはのべ1000社・3000名以上に導入され、企業の業務フローと、個人の思考や働き方に根本的な変革をもたらしている。「ICCサミット KYOTO 2022 カタパルト X」優勝など起業・スタートアップ関連の賞を多数受賞。テレビやウェブメディアでも広く取り上げられ、1万人超への講演実績も持つ。現在は累計約24億円の資金調達を実施し、AI技術の社会実装を牽引している。