会社員時代は一目置かれていた。ところが、独立した途端に仕事が減り、以前ほど活躍できなくなる。会社員として優秀だったのに、なぜ環境が変わるだけで「パッとしない人」になってしまうのでしょうか。そこには、自分の実力についての大きな勘違いがあります。この連載では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

一流サラリーマンだったのに「会社を辞めたらパッとしなくなる人」の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

会社を辞めたらパッとしなくなる人

 会社員時代は、誰もが知る大型案件を動かしていた。
 社内でも評価され、取引先からも一目置かれていた。

 ところが、独立した途端に仕事が減り、以前ほど活躍できなくなる。
 そんな人がいます。

 会社員として優秀だったのに、なぜ環境が変わるだけで「パッとしない人」になってしまうのでしょうか。
 そこには、自分の実力についての大きな勘違いがあります。

ワースト1:「会社の力」を自分の力だと思っている

リーダーの仮面』で私は、次のように書きました。

いまの世の中は、「フリーランスになろう」「副業をやろう」「会社をうまく利用して、個人のスキルアップをしよう」という流れがあります。
「会社に使われるのではなく、会社を使おう」という考え方を勧めているインフルエンサーもいます。
しかし、私は、「会社にうまく使われる」ことを意識したほうが成長は早いと考えています。
どこまで行っても、「組織あっての個人」だという考え方です。
――『リーダーの仮面』より

 会社員として仕事をしていると、「自分の力で成果を出した」と思いたくなるものです。
 しかし、その仕事は本当に自分一人の力で生まれたのでしょうか

 会社の看板がある。
 過去の信用がある。
 営業や経理、法務などのサポートがある。
 優秀な同僚がいる。

 そうした土台の上で、私たちは仕事をしています
 一流の会社員ほど、その事実を忘れてはいけません。

あなたは「会社名」とセットで見られている

どんなに優秀な人でも会社員である限り、外からは「A社の○○さん」というように、所属する組織とセットで認識されます。
個の力、個の存在だけで生き抜いていける人は、ごくわずかです。
ほぼすべての人は「組織やコミュニティに貢献できているかどうか」によって対価を獲得する存在です。
――『リーダーの仮面』より

 名刺から会社名が消えたとき、初めてわかることがあります。

 昨日まで会ってくれていた人が、会ってくれなくなる。
 会社に来ていた仕事が、自分には来ない。
 以前なら簡単に取れたアポイントが、取れなくなる。

 そこで、「会社の看板がこれほど大きかったのか」と気づくのです。

 もちろん、会社員時代に出した成果まで否定する必要はありません。
 重要なのは、「自分の力」と「組織から与えられていた力」を混同しないことです。

独立すれば「評価」がもっと厳しくなる

独立して社会から評価を得る仕組みも、組織の中で上司から評価を得る仕組みも、本質的には一緒です。
会社で評価されない人が、社会から評価されることなんて、滅多にありません。会社を飛び出して自力で社会から評価を得るほうが、難易度は上がります。
独立して1人でやっていく。会社のトップとしてやっていく。それは、市場からの評価をダイレクトに獲得する存在になるということです。
より大きな「社会」というコミュニティに認められるのは、高度なことです。
会社員であれ、個人商店であれ、「社会の一員として」成果を上げていかないといけません。だから、「個人」と「組織」は本来、分けられるものではありません。
「組織の中の個人」「組織あっての個人」があるだけです。独立して成功できる人は、組織でもやっていける人です。
その順番を間違えないようにしましょう。
――『リーダーの仮面』より

「会社を辞めれば、自由に実力を発揮できる」

 そう考える人もいます。

 しかし、独立すると評価がなくなるわけではありません。
 むしろ、評価する相手が「上司」から「市場」に変わります

 会社員なら、失敗しても毎月給料が振り込まれるでしょう。しかし、独立すれば、評価されなければ仕事そのものがなくなります。
 つまり、会社を辞めることは「評価から自由になること」ではありません。

 もっと厳しい評価にさらされることなのです。

「評価される人」になりなさい

 一流サラリーマンだったのに、会社を辞めたらパッとしなくなる人。
 その特徴は、「会社の力」を「自分の力」だと勘違いしていることです

 会社に所属していることを、「自分の可能性を邪魔するもの」と考える必要はありません。
 むしろ、組織の力を借りながら、大きな仕事を経験し、成果を出し、自分自身を成長させていく。

「会社を使う」のではなく、「会社にうまく使われる」。
 その先に、本当の意味で社会から評価される人材への道があるのです。