「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。そんな木下氏が考える圧倒的な差を生む「上達」と「成長」の違いとは? ライターの照宮氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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3年サイクルの罠
公務員になって3年が経った頃、ふと気づいてしまった。
仕事中に、緊張がなくなっていたのだ。
1年目は必死だった。2年目は「できる」実感が出てきた。だが3年目、仕事の流れが読めて処理も早くなったその瞬間、何かが終わった。もちろん達成感ではない。飽きてしまったのだ。
その感覚は部署が変わるたびにリセットされるが、また同じサイクルに入る。
経験は積んでいるはずなのに、どこか手ごたえを感じられずに、淡々と仕事をこなしていた。定年までこれが続くのかと思うと、ぞっとした。
「上達」と「成長」は、どう違うのか?
時間対効果の高い仕事の進め方を発信し続ける木下勝寿氏は、著書『地頭スイッチ』の中でこう述べている。
一方、「成長」とは、目的に対し最適な手段を考えるという地頭活動を通じて、自分が扱える目的の階層が上がっていくことです。
――『地頭スイッチ』より
あの頃自分がしていたのは、上達だった。それは確かな変化だが、本書の言葉を借りれば「知頭(ちあたま)」の対応力が上がっただけだ。
上達は経験を積めば自然と起きる。しかし成長は、目的に対して最適な手段を自分の頭で考えようとしなければ起きない。
同じ仕事をしていても、その2つの間には大きな隔たりがある。
あの手ごたえのなさは、上達止まりだったことへの、正直なサインだったのかもしれない。
経験を「成長」に変えてくれる
上達と成長の違いを知るだけで、同じ経験の積み方がまるで変わってくる。
当時この違いを知っていたら、辞めずに成長する道を選べていたかもしれない。地頭の鍛え方を説く本だと思って読み始めたが、気づけば仕事人生そのものを見直させられていた。
経験を積んでいるのに何かが物足りない。そう感じているとしたら、自分が今、上達しているのか成長しているのかを問い直してみる価値はあるだろう。








