NGサインを出すスーツ姿の男性写真はイメージです Photo:PIXTA

「NISAをやれば老後資金は安心」そう思い込んでいませんか?物価高による老後不安から投資を急ぐ「おひとりさま」が急増しています。貯金420万円・年金月9.8万円の65歳女性介護士も、減り続ける通帳に恐怖を感じNISAにすがろうとしました。しかし、相談を受けたFPは「残念ですが、今NISAを始めてはいけません」と警告します。まとまったお金があるのになぜ投資をしてはいけないのか?老後破綻を防ぐ「たった1つの絶対条件」に迫ります。(家計再生コンサルタント 横山光昭)

老後破綻のドミノ倒し
投資にすがる人の末路

 日本の単身世帯は年々増加の一途をたどっています。

 統計を見ても、今や全世帯の3割以上が一人暮らしであり、将来的には4割近くに達すると予測されています。もはや「おひとりさまの老後」は一部の特殊なケースではなく、誰もが当事者になり得る日本のスタンダードなライフスタイルと言えるでしょう。

 それに伴い、家計相談の現場で増えているのが、高齢の単身世帯からのご相談です。誰にも頼れないおひとりさまの老後は、ひとたび歯車が狂うと、現役時代には想像もしなかった特有の問題に直面することがあります。

 その代表的なものは「老後の3K」です。

「健康(病気や介護にならず自立して暮らせるか)」「金(年金だけで生活できるか、貯蓄が尽きないか)」「孤独(配偶者や友人を失い、一人で暮らす不安)」の3つです。

 この3つは、それぞれ独立した問題ではありません。

 健康を損なえば働くことが難しくなり、お金の不安が大きくなります。お金に余裕がなくなれば外出や人付き合いを控えるようになり、孤独を感じやすくなります。そして孤独は心身の健康にも影響を及ぼします。

 まるでドミノ倒しのように連鎖することが、おひとりさまの老後の難しさなのです。

 こうした不安から「投資で老後資金を増やしたい」と考える方も少なくありません。物価高やNISAの普及もあり、「預金だけでは増えない」「投資をしないと老後資金が足りない」といった情報を目にする機会が増えています。

 もちろん、投資そのものが悪いわけではありません。しかし、家計の土台が整っていない状態で投資だけを始めても、老後の不安は解消されないことがあります。

減りゆく通帳への恐怖
NISAにすがる65歳

 今回ご相談に来られた介護士の佐藤さん(仮名・65歳・女性)も、その一人でした。

 50歳で離婚し、財産分与で都内のマンションと600万円の現金を受け取りました。離婚後は老人福祉施設で正職員として働き、自立した生活を送ってきました。35歳になる息子さんは家庭を持ち、別に暮らしています。