「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。ライター照宮氏がレポートする「最悪の引き継ぎをする人の共通点」とは? (構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

最悪の引き継ぎをする人の共通点・ワースト1Photo: Adobe Stock

最悪の引き継ぎエピソード

以前の会社で新しい部署に配属されたとき、まわりの人からとても心配された。
前任者が膨大な残業をしていて、しょっちゅう終電を逃していたというのだ。

引き継ぎの1週間は地獄だった。
マニュアルは存在せず、まさかの口伝え。
大量のデータを扱う部署で、Excelはほぼ初心者の私。
何をどう処理すればいいのかもわからないまま、ただ必死についていくしかなかった。

属人化を生む職場に足りないもの

「成果を出し続ける人の思考」を体系化した木下勝寿氏は著書『地頭スイッチ』の中でこう述べている。

「成長」とは、不完全な指示やあいまいな評価基準を(中略)前提条件として受け止め、目の前の目的ではなく、上位の目的を自ら読み取り、行動を組み立てる力を身につけること。
――『地頭スイッチ』より

その後、Excelをマスターし、業務を1つひとつ理解していくうちに、全体像が見えてきた。
前任者は1つのデータを仕上げるために、補助的な分析表をいくつもつくっていた。
丁寧だが、それが工数を膨らませ、本人以外には扱えない属人的な仕事になっていた。

自分が抜けたとき、穴を埋められる人間がいないのは問題だ。
そこで、必要なデータを貼り付けるだけで自動的に集計される原本とそのマニュアルをつくることにした。
こうすることで毎月の作業時間は大幅に減り、誰にでも使いやすいものになった。

仕事の進め方を根本から見直そう

目の前の作業を丁寧にこなし、毎日遅くまで一生懸命やっている人のほうが、傍から見れば仕事をしているように映る。

一方で、効率化により毎日定時で帰る人は、さぼっているように見えるかもしれない。
でもそれが積み重なったとき、組織に残るものはまるで違ってくる。

目の前の目的だけを見て動くか、その先まで読み取って動くか。
本書によって日々の仕事の中で見えにくい決定的な違いがうまく言語化された。
地頭を鍛え、自分の仕事の仕方を見直したいと思った。