「自分は仕事ができないのかもしれない」。職場で評価されず、そう自信を失ってしまう人は少なくない。しかし、本当に能力の問題なのだろうか。漫画『左ききのエレン』で累計420万部を突破し、「才能」について25年以上考え続けてきた漫画家・かっぴー氏は、「人は能力だけで評価が決まるのではなく、自分のカードと環境が噛み合っているかどうかで結果が大きく変わる」と語る。では、どんな人が「今すぐ職場を変えたほうがいい人」なのか? その見極め方とは。

「40代で急に伸びる人」が若手の頃やっていたことPhoto: Adobe Stock

「40代で急に伸びる人」がやっていたこと

 40代になってから急に活躍し始める人がいる。

 若いころは目立たなかったのに、管理職になってから成果を出す人。転職をきっかけに一気に評価される人。独立して初めて才能が開花する人。こうした人を見ると、「遅咲きの天才だった」と思ってしまうかもしれない。

 しかし、僕はそうは思わない。

 彼らは40代になって急に能力が身についたのではない。若いころから、自分を観察し続けていたのだ。

若いころからカードを確認していた

 本書でも紹介しているように、僕は人の才能や強みを「カード」と考えている。例えば、「資格持ち」「Excelができる」のようなビジネスで活きるものから、「聞き上手」「人前で話すのが得意」「文章を書くのが得意」「人を安心させられる」「最後までやり切れる」など人生全般に使えるもの、さらには語弊を恐れずに言えば「背が高い」「顔が可愛い」「実家が太い」などの強みは、すべてカードだ。

 そして、40代で伸びる人は、若いころから自分のカードを確認している。「何をすると成果が出やすいのか」「何をすると苦しくなるのか」「人から何を評価されるのか」。こうしたことを経験のたびに観察し、自分の説明書を少しずつ作っていく。つまり、「自分のベテラン」になっていくのである。

成功よりも「再現性」を見ている

 ここで大事なのは、カードの分析をやめないことだ。

 20代や30代は、体力や勢いでカバーできることも多い。「とにかく頑張る」というカードだけでも勝てる場面は少なくない。

 しかし40代になると、そのカードだけでは苦しくなる。家庭環境も変わる。求められる役割も変わる。若いころと同じ時間の使い方はできなくなる。

 そんなとき、自分のカードを理解している人は、新しい戦い方へ移れる。「長時間働く」ではなく、「判断する」。「何でもやる」ではなく、「自分が最も価値を出せる仕事に集中する」。カードを理解しているから、戦い方を変えられるのだ。

 経験を、ただ積むだけではない。経験から、自分について学び、「さらなる自分のベテランを目指している」のである。

「自分のベテラン」は一生続く

 だから、40代で急に伸びる人が若いころにやっていたことは、特別な勉強ではない。

 ただ、自分を観察し続けていたのである。

 どんなカードを持っているのか。どんな環境でそのカードは強くなるのか。そして、年齢とともにカードはどう変わっていくのか。その確認を、ずっと続けてきた。

「自分のベテランになる」とは、一度自分を理解したら終わりではない。年齢が変われば、使えるカードも変わる。環境が変われば、強いカードも変わる。

 ずっと、「自分のベテランになることをやめない人」。だから、40代になってからも伸び続けるのである。

(本記事は書籍『天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論』に関する書き下ろし原稿です)