小学校から企業研修、さらには少年院まで、さまざまな現場で教えてきた小説家が教える、世界一やさしい「言語化」にまつわる授業。本記事では、子どもも読めて、大人に刺さる『小学生でもできる言語化』をもとに、「何回説明しても、伝わらない人の特徴」について、ライターの柴田賢三氏にご寄稿いただいた。(企画/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「何回説明しても、伝わらない人」の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

「背が低い」だけでは伝わらない

「うーん、柴っちゃんぐらいかな」

 若い頃に通っていたスナックで、美人のママさんから言われた一言です。

 その日、ママさんが「気になっている男性がいる」という話題になり、常連客たちが「どんな男?」と興味津々に聞き出していたときに飛び出した言葉でした。

 ママさんは、

「顔はブラッド・ピットに似ているイケメン」
「性格は、これまで会ったどの男より優しい」
「仕事もデキると評判」

 などと、お気に入りの男性の特徴を次々と挙げ、まだ付き合ってもいないのに自慢げに話していました。

「だけど……」と、表情を曇らせて、こう続けたのです。

「背が低いんだよね。私、背が低い男はダメなのよ」

何回説明しても伝わらない理由

 常連客の一人が、「どれくらい?」と聞くと、冒頭のように「私(柴田)と同じくらい背が低い」と説明したというわけです。

 常連客たちの目が一斉に私に注がれ、「あー、そりゃ残念」という言葉とともに爆笑が起こりました。

『小学生でもできる言語化』という本では、著者で小説家の田丸雅智氏が、イラストのテーブルを言語化するトレーニングを紹介。

 同時に、「言葉には限界があります」として、こう書いています。

自分の伝えた言葉だけで相手が「完璧に」自分と同じテーブルをイメージできるかというと、いくら言葉を尽くしても正直なところ難しく、実際の物や写真を見せることにはかないません。
――『小学生でもできる言語化』より

 いわゆる「百聞は一見にしかず」というやつです。

伝わる人は、「たとえ」を使う

 スナックのママさんは、気になる男性の特徴を次々と言語化していきましたが、お相手の身長だけは、わかりやすく私と「同じくらい低い」と表現。

 ママさん狙いの常連客たちからグイグイくる質問を爆笑でかわし、店の雰囲気を一気に変えてみせたのです。

「さすがはプロ」と、聞いた人をうならせるエピソードですが、ネタに使われた私はたまったものではありません。

 気づくとウイスキーがテキーラになり、意識が飛ぶまで痛飲したことだけは覚えています。

(本記事は、田丸雅智著『小学生でもできる言語化』をもとに作成しました。)