小学校から企業研修、さらには少年院まで、さまざまな現場で教えてきた小説家が教える、世界一やさしい「言語化」にまつわる授業。本記事では、子どもも読めて、大人に刺さる『小学生でもできる言語化』をもとに、「何歳からでも成長する人の共通点」について、ライターの柴田賢三氏にご寄稿いただいた。(企画/ダイヤモンド社・秋岡敬子)
Photo: Adobe Stock
陽気な先輩が、突然しゃべらなくなった
以前、私が勤務していた出版社で、大先輩の編集者が見たこともないほど落ち込んでいたことがありました。
この先輩はユニークな方で、いつもおもしろい話をしたり、突然、奇声を上げたりして殺伐とした編集部の空気をなごませていました。
怒ったところも見たことはなく、勤務中に抜け出して打ったパチンコで大負けしたときだけ、わかりやすくヘコんでいましたが、夜になるとルンルンで居酒屋やスナックに出向く人でした。
そんな先輩が、この世の終わりのような顔で出勤。人を寄せつけない雰囲気で、誰も声をかけられずにいました。
「ご家族に不幸でもあったんじゃないか」
「まさか、がん宣告されたとか?」
社員同士が、こんなひそひそ話をするほどでした。
留年の原因は“自分が書いた文章”
私は、この先輩と住んでいる街が近く、いつも同じ電車で帰宅。
その前に酒場でバカ話をするのがお決まりでしたが、この日は誘っても「まっすぐ帰る」と言います。
同じ電車に乗って、無言のまま乗り換えの駅に到着すると、さすがの先輩も駅前の居酒屋を指さし、「一杯だけ」と先にのれんをくぐります。
私はビール、先輩はホッピーを頼み、やきとんをつまみに飲み始めましたが、無言の時間が続きました。
私は、居酒屋のほこりだらけのテレビでナイターを観戦。
おかわりで私もホッピーを頼んだところで、先輩が口を開きました。
「実は……息子が大学を留年しちゃってね」
「なんだ、そんなこと? もっと深刻なことかと思って、心配して損した」
続きを聞いて、私はホッピーを吹き出しました。
成長のカギは、“向き・不向き”を理解する
息子さんに大事なレポートの手伝いを頼まれ、「俺は文章のプロだから」とさんざんマウントをとって仕上げたら、教授に酷評されて留年が決まったというのです。
『小学生でもできる言語化』という本の著者で、ショートショート作家の田丸雅智氏は、こう断言しています。
でも、ぼくははっきりと「書けないし、書かないです」とお答えしています。
――『小学生でもできる言語化』より
編集者やライターは文章のプロですが、得意分野があります。
私はよく、陸上競技にたとえます。
プロレスラーのような体格の円盤投げの選手が、棒高跳びやマラソンにエントリーしても惨敗するのは当たり前。
同じ競技でも、「種目」が違えば勝負になりません。
自分の土俵で勝負しよう
当時、私と先輩が編集に携わっていたのは、三流のゴシップ雑誌です。
ここには一文字も書けないようなゲスな記事ばかり扱っていました。
そんな人間が、学術的な論文やレポートが書けるわけがないのです。
『小学生でもできる言語化』を読むと、文章を書きたくなるはずです。
このとき、自分はどんな文章を書くのが得意なのか、いろいろなパターンで言語化をしてみてください。
自分が好きなジャンルで書きはじめると、驚くほどスラスラ書けるはずですから。
(本記事は、田丸雅智著『小学生でもできる言語化』をもとに作成しました。)








