2026年1月から4月にかけて販売された期間限定サービス「ちきりんAI on LINE」は、売上が約1000万円に迫るなど、著者のキャラクターAIとして出版業界で初めての成功をおさめました。
このたび、「ちきりんAI on LINE」の提供中に開催され、大盛況となった3回のイベントのアーカイブ動画の発売を開始します。その案内として、第1回イベントの前半部分のダイジェストを記事化しましたので、ぜひご一読ください。(構成/ダイヤモンド社・竹内博香)

ちきりんAIイベントアーカイブ

ちきりんAI誕生の裏話

横田大樹(以下、横田):皆さん、こんにちは! 「ちきりんAI」全期間利用権をご購入の方向け限定オンラインセミナー第1回、「ちきりんAIの開発裏側を全公開。キャラクターAIの開発企業トップが自ら語る」を始めます。ダイヤモンド社書籍編集局、第二編集部編集長の横田です。よろしくお願いします。

ちきりん社会派ブロガーのちきりんです。Voicyで音声配信をしたりブログを書いたり、ダイヤモンド社さんから本も出しています。今回はいろんなお話をお伺いするのを楽しみにしています!

伊藤新之介(以下、伊藤)デジタルレシピの伊藤です。ちきりんAIの開発を担当しました。今日は開発の話、色々しゃべっていい回だと聞いてるので語れればと思います。

横田:まず、ちきりんAIの利用状況を公開しましょう。2月13日13時時点で、3か月の全期間利用が2821件。1か月の第1期のみ404件、第2期のみ26件です。なんと全期間が2800人超え! 我々としても正直大きなサプライズでした。ちきりんさん、どうでした?

ちきりん私はVoicyで有料配信をしていて、その人数感から「どれぐらい興味を持ってくれるかな」って考えてたんですけど、この数字は想像の軽く3倍近いです。「こういうニーズがけっこうあるんだ!」と、マーケット感覚をアップデートした感じです。

横田:伊藤さんはいかがですか?

伊藤自分はサブスク系のサービスをいろいろやってきたんですけど、こんなに初速がいいのはなかなかないです。単純に感動しました。

横田:お〜。そうですよね。私もいきなり3か月分を支払ってくださる方がこんなに多いということに、まず感謝の気持ちが浮かびました。あと、やっぱり、ちきりんさんのパワーですね。

 それと感慨深くもあって。プロジェクトの始まりは実は2023年で、3年も前なんです。我々からすると「ついにできた!」という気持ち。「人気なかったらどうしよう……」という思いもめちゃめちゃあったのですが(笑)。今はたくさんの人に使っていただけて「きたーー!!」という快感があります。

ちきりん誤解のないように言うと、3年間朝から晩までずっとやっていたわけではないですよ(笑)。たまにZoomやったり、エンジニアの方が随時頑張ってくださってたり、仮説検証しながらって感じですよね。

横田:はい。もう少し経緯を説明すると、3年前にデジタルレシピさんからダイヤモンド社に1通のメールが届いたんです。「ウチは生成AIやってるスタートアップです。著者関連のAIプロジェクトやりませんか」みたいな。私は生成AIの本を作ったりしていたこともあり、「これは乗るしかない」と思って即返信しました。早く返さないと他社に取られる、って焦って。

 そしたらいざ伊藤さんをお話をしたら、「40数社に送ったけど、返信してくれたのはダイヤモンド社だけでした」って言われて。え、焦らなくてよかったじゃん、っていう(笑)。

ちきりん40社出して1社だけ?

伊藤そうです。進んだの、ほんま横田さんだけ。

ちきりんなんか他の出版社、センスなさすぎな気がしないでもないけど!  ChatGPTが出たのはいつでしたっけ。

伊藤2022年の年末くらいですね。

ちきりんそしたら、もう1年以上たってて「世の中変わる」って雰囲気が一般の人もわかり始めてた頃ですよね。有名人AIも、ちょいちょい出てた頃じゃない?

伊藤ちょいちょいありましたね。

ちきりんそれで反応ゼロって何なんですかね? どこ宛てに送ったんです?

伊藤出版社のお問い合わせ窓口とか、手当たり次第に。スパム扱いされたかもしれません(笑)。

ちきりんそれで届いてない可能性ある(笑)。今、出版社の方が見てたら「返事すればよかった!」って思ってるかもしれないですね。

伊藤当時は、「著者から許諾をもらえないんじゃないか」っていうフィルターが出版社側にあったというのも聞きました。

ちきりんなるほどね。

横田:少しネガティブな話をすると…編集者って忙しくて「本作る以外の仕事増やしたくない」って深層心理があるっちゃあるんですよ。ただ私はテクノロジー系の本をやってたからハードルが低かったのかも。でも「うちだけ」っていうのは驚きでした。

ちきりんそのメール、怪しい感じだったんですか?「どの会社だよ」みたいな(笑)。

横田:いや、ちゃんとしてました!(笑) 調べたらChatGPTの本を出してる会社だったんで、なおさら「なるほど」って。話してみたら時間も取ってくれるし寄り添ってくれるし、スタートは結構トントン拍子でした。

ちきりんその頃、私はまだメンバーに入ってないんですよね。最初は伊藤さんと横田さんで何回かミーティングして。

伊藤そうです。最初は「書籍と対話するAI」みたいな構想でした。もともと自分が本好きなんですけど、ずっと「いろいろ質問しながら本を読みたい」という思いがあって。いろいろな出版社さんに手当たり次第「作らせてくれ!」ってお願いして回ってました。

ちきりん著者じゃなくて書籍にフォーカスしてた感じですか?

伊藤当時の感覚的にはそうでしたね。

横田:最初のメールは「何かやりませんか」っていうお誘いでしたよね。「何か」の候補として最初は「本をAI化する」みたいな、できたら面白いなと思うものでした。実際、今は質問をするとどんどん答えてくれるAIサービスもKindleとかで実装され始めてきているじゃないですか。

伊藤そうですね。ただ、当時から書籍単体の質問に答えることはできるけど、複数書籍を横断して解釈してAIが答えるのは、権利上難しいというのはわかっていて。電子書籍の規約とかでも「検索の範囲」を超えちゃいけない、というのがありました。

横田:そうした試行錯誤をしつつ、並行して「著者AI」も考えていて。ちょうど私がちきりんさん担当だったので「いけるな」と思って声をかけたら、ちきりんさんが「やるやる!」と前のめりに(笑)。

ちきりんこのメンバーの中で、私が一番何もやらないくせに、一番前のめりなんです(笑)。タイミング的に、私が「もう本書かない」って言った後だったと思う。

横田:そう。それも大きかった!ちきりんさんのシリーズが完結した後に「本は書かない」って明言されて。困ったなーと思いつつも、時間は空いてるだろうし、AIをきっかけに「AIの本なら書いてもらえるかも……」と思って。結果、さらに本を書く気がなくなった、っていう副作用はありましたが(笑)。

ちきりん(笑)。みんなAIに仕事が奪われるのが怖いって言うけど、私としては「早く奪ってくれ!」なんですよ。早く私の代わりに働いて、私の代わりに稼いで、って。だから「AI作りませんか」って言われたとき、「それよそれ!」と思って。「本書きませんか」だったら既読スルーしてたと思う(笑)。いっそ「本書いてほしかったら、ちきりんAIに依頼すれば?」くらいの世界になったら最高。

横田:それ、今となっては夢じゃないかも、っていう手応えが今回あったんですよね。

ちきりんみんな、ちきりんAIが著書でシリーズ第5巻、出るかもしれないよ! それ、すごいよね。私、帯の推薦文なら書きます(笑)。

横田:それは推薦になるのかっていう。でも、将来的にこういう打ち合わせをするかもしれないですよね。「先生、帯文くらい書いてくださいよ」みたいな(笑)。

ちきりん「わかった」とか言って、帯文をGeminiに聞いちゃうみたいな(笑)。

横田:(笑)。

ちきりん

関西出身。バブル期に証券会社に就職。その後、米国での大学院留学、外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念。2005年開設の社会派ブログ「Chikirinの日記」は大人気に。シリーズ累計40万部のベストセラー『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』『自分の時間を取り戻そう』『自分の意見で生きていこう』のほか、『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』(以上、ダイヤモンド社)など著書多数。「X」「Voicy」でも多数のフォロワーをもつ。
伊藤新之介(いとう・しんのすけ)
株式会社デジタルレシピ 代表取締役
同志社大学生命医科学部医情報学科中退。同大学在学中に学習塾の立ち上げなどを行い、2013年株式会社ラフテックを創業。同社を株式会社ベクトルに売却後、2018年に株式会社デジタルレシピのCEOに就任。
横田大樹(よこた・ひろき)
株式会社ダイヤモンド社 第2編集部 編集長。