2026年1月から4月にかけて販売された期間限定サービス「ちきりんAI on LINE」は、売上が約1000万円に迫るなど、著者のキャラクターAIとして出版業界で初めての成功をおさめました。
このたび、「ちきりんAI on LINE」の提供中に開催され、大盛況となった3回のイベントのアーカイブ動画の発売を開始します。その案内として、第1回イベントの一部をダイジェストでご紹介します。(構成/ダイヤモンド社・竹内博香)

ちきりんAIを開発してわかった「人間はめちゃくちゃ賢い」
横田大樹(以下、横田):著者AIを作らせてもらう方として、ちきりんさんを思い浮かべたとき、まず相当データがあるなと思ったんですよね。本だけでなく、ブログもツイッターの投稿もめちゃくちゃあるし。相当著者AIに向いている人だなって。
ちきりん:学習データがめっちゃありますよね。Voicyなどの音声もテキスト化できるしね。
横田:そうですよね。Voicyの音声もどんどん取り込んでましたよね。
伊藤新之介(以下、伊藤):逆に多すぎて処理しきれない、ってなりました。
ちきりん:Voicyで話している内容は煮詰めてないから、AI文字起こしというより要約ができたら本当はいいんだけど。
横田:そんな感じで、ちきりんさんは学習データがたくさんあるとなったんですよね。ただ、そこからトントン拍子に進んだわけではなく途中で中断もある。
ちきりん:あと私が途中で「オンラインサロンみたいにできない?」って言い出して。今のちきりんAIのように1対1のQ&Aじゃなくて、ちきりんAIがホストになって、参加者5~6人がワイワイ喋る実験もしたんですけど、結論「AIは人間より全然ダメ」になりました。
横田:AIにやらせることとして、1対1は満足いただいてる感触があるけど、皆んなの会話を司会するようなAIは全然ダメだった。これって、どれくらい難易度は違うんですか?
伊藤:コンテキストの長さ、って言い方するんですけど、AIにも記憶力の上限がある。人数が増えると情報量が加速度的に増える。雑な記憶が増えれば増えるほど、ちょっとバカになっちゃうんです。そういう意味で、何人もの人が参加するコンテキストは難易度が高いです。
ちきりん:人間でも1対1なら話せるけど、パーティーに行くとどこで会話に入っていいかわからないことあるじゃないですか。あれに似てる?
伊藤:似てるかもしれない。みんな脈絡なく喋るし、「いま何を話すべきか」が整理つかない。AI側からしたら、聖徳太子的に一気に来る感じ。
ちきりん:しかもAIって全部拾おうとする。たとえば、10人テーブルで右がAの話、左がBの話の時、人間はどっちに入ろうか取捨選択するけど、AIはそれができない。全然違うAとBの話を混ぜて足して2で割ってしまう。そうなると、「何言ってんの?」みたいになる。
伊藤:さらに「誰が何を言ったか」も切り分けないといけないから、分岐して情報量が増えます。
ちきりん:これをやったとき、人間ってめっちゃ頭いいんだなって思いました。で、結局、1対1のQ&Aにしよう、ってなったんですよね。
横田:そうなんですよ。ホスト役AIがあまりにダメで「ちきりんさんの本を読ませてAIを作ったらバカになった」みたいな話になったら嫌だなって(笑)。でも1対1にしたら、めっちゃいい。同じ会話なのに、ちょっと目的が変わるだけでこんなにパフォーマンス変わるんだ! って驚きました。
ちきりん:あと、ユーザーの方から「ChatGPTより賢い」くらいのフィードバックを結構いただくんですけど、それ、あり得るんですか?
伊藤:理論上、実際、賢いです。賢くなるように作れます。ざっくり言うと、まずLLMが一般的な回答を出して、それに「ちきりんならこう答える」ってツッコミや修正を入れて出す。1回出したものを改善するループが入ってるので、その分アウトプットの品質は上がるんです。要は、ChatGPTに「もっといい回答出せ」ってツッコミを裏でやってる感じです。
ちきりん:なるほどね。私がプロンプトを何回も入れ直してるのを、私の思考を使って代わりにやってる、みたいな。
伊藤:そうです。ほんとはループを3回くらいやりたいけど、やりすぎると返信が遅くなる。品質とレスポンスのトレードオフがあります。
ちきりん:レスポンス速度って、ネットの通信速度の変化とかで今後上がる可能性はある?
伊藤:上がるとは思います。ただ根本は使ってるモデルの速度に依存します。
ちきりん:将来、ちきりんAIがツッコんで、次に勝間AIがツッコんで……専門家10人で結論出したら、すごいの返ってきそう。
伊藤:まさに、ユーザーのそばにいつも専門家が複数いて、議論して結論を出すみたいな世界線ですね。
ちきりん:審議会みたい!(笑)。
横田:ちなみに、ちきりんAIの開発にお金をたくさんかけると、さっきおっしゃったその3回が早くなるとかができたりするんですか。
伊藤:いや、そこでお金かけても解決はできないです。やっぱGPTとか元のAIの速度に依存しちゃうんですよ。
横田:なるほど。OpenAIとかGoogleのほうで1兆円ぐらいかけてバージョンアップしてもらわないと無理と。
伊藤:そうですね。
ちきりん:でも実際にね、ChatGPTより賢いんだとしたら、皆さんに使っていただいててポジティブなフィードバックが来てるのも錯覚ではないんだ、って思いました。最初は「みんな錯覚なんじゃないの」と、思いました(笑)。「私のアイコンが答えてるから、なんとなく賢いと思い込んでんじゃないの」って思ってたんですけど、そうじゃなくて、本当にちゃんと賢くなってると。
横田:今回LINEでやったのも良かったですよね。LINE上で加工したAIを動かすのって、デジタルレシピさんとじゃないとできなかった。ここは苦労されました?
伊藤:ChatGPTをそのままLINEで再現、みたいなのはやったことがあったんですけど、そこから加工して何かやる、ってなると、あんまり聞かないし話題にもなりにくいですね。
ちきりん:私はLINEでやったの、結構画期的だと思ってます。LINEって家族や仲いい友達の場所だから、そこに「ちきりん」がいるのは親しみがある。Slackだと仕事相手っぽいし、Discordは技術者っぽい。使いやすいのはLINEだよねって。
伊藤:開発者目線だとSlackとかDiscordのほうが楽なんで、そっちに寄せたくなるんですけどね。LINE、ちょっとめんどくさい(笑)。
ちきりん:LINEちょっとめんどくさい、って言った(笑)。
横田:すみません。でも皆さんの満足度に繋がってます。
★ちきりんAIイベントのダイジェスト記事は今回で終了します。続きはぜひアーカイブ動画でお楽しみください!








