多くの人は仕事の生産性を上げようとする。だが「悩んでいる時間」を短くしようとする人は少ない。もしあなたも「悩まない体質」になれたらどんな人生が待っているだろう? いま、英語、ドイツ語、スペイン・カタルーニャ語、オランダ語など世界中から翻訳オファーが殺到している本がある。『「悩まない人」の考え方――1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』だ。この一冊から学ぶ「全く意見が合わない人の対処法」とは? ライター柴田賢三氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

全く意見が合わない人Photo: Adobe Stock

「こいつはとんでもない悪人だ」

 テレビのニュース番組でよく目にする「容疑者が送検されるシーン」を頭に思い浮かべてほしい。ほとんどが悪人ヅラで、カメラに気づくと横や下を向いたり、物陰に隠れようとする。

 それを見た視聴者は、事件の詳細を知らなくても「こいつはとんでもない悪人だ」という印象を抱くはずだ。もちろん、逮捕・送検されているのだから、その印象は間違っていない。

 私が駆け出しの週刊誌記者の頃、ある地方都市で起こった女性の殺人事件の取材で戸惑ったことがある。

 容疑者は札付きのチンピラ。不倫相手の被害女性に刺青を入れることを強要したり暴力を繰り返し、殺害後は山中に埋めていた。

“悪魔の棲む館”に出向くと……

「極悪非道な鬼畜」の自宅を割り出し、“悪魔の棲む館”をイメージして出向くと、そこには小さな新しい一戸建てがあった。庭には簡易的なブランコが設置してあり、小さな靴がいくつも干してある。

 呼び鈴を鳴らすと、家の中から乳飲み子を抱えた真面目そうな若い母親が出てきた。
 彼女の足元には男児がしがみつき、こちらをにらみつけている。
 取材を申し込むと、「私は夫を信じていますから」とだけ言い残し、玄関ドアをバタンと閉められた。

 愛人を殺して山に埋めた夫を信じている? これから2人の子どもを自分一人で育てなければならない妻の強がりかもしれないが、鬼畜だと思っていた容疑者にも何か事情があったのか……。

「北の達人コーポレーション」の社長・木下勝寿氏の著書『悩まない人の考え方――1日1つインストールする一生悩まないスキル30』の中に、こんな一文がある。

人間関係の悩みに向き合うとき、「盗人にも三分の理」ということわざほど核心をついたものはない。
どんな悪事にしても、それを働いた本人にして見れば、その行為をせざるをえなかった理由があるということだ。

――『悩まない人の考え方』より

他人の思考回路に興味を持とう

 どうしても意見が合わない相手との関係に悩む人の多くは、「自分は正しい」のだから「相手が変わるべき」だと考える。
 しかし、木下氏はガンダムシリーズの地球連邦軍とジオン軍の関係性を軸にした見方なども交え、「悩まない人はどう考えているのか」を解説。物事の善悪に対する価値観まで変わりそうな考え方を披露している。

 結局、前述の事件は容疑者の身勝手な犯行理由が裁判で明らかになったが、私はこの取材で雑誌記者の仕事の面白さに気づき、トータル20年近く続けることができた。
 容疑者を、とことん悪人として追及するのは簡単だが、そこに至るプロセスや思考を紐解くと、映画やドラマより興味深い“理由”が存在することもあるからだ。

「他人の思考回路に興味を持つ」ことを、多くの人はきちんとできていない。
 悩まない人たちは、身近に苦手な人がいても相手を違った視点で見ているのである。