「職場にいるあの人のせいで、毎日がツラい…」
そんな悩みを抱える人は少なくない。
本連載では、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏が、悩まない人になるコツを紹介する。
いま「現実のビジネス現場において“根拠なきポジティブ”はただの現実逃避、“鋼のメンタル”とはただの鈍感人間。ビジネス現場での悩み解消法は『思考アルゴリズム』だと言い切る木下氏の最新刊『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
どんな職場にも必ずいる嫌な人を、どうすれば受け入れられるのだろうか? 本稿では、あるユニークな発想で、この問題に対する解決策を提示し、嫌な人を気にならなくする具体的な方法を紹介する。(構成/照宮遼子)

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ストレス社会を生き抜くヒント、
人間関係の悩みを軽くするカギとは?

 ほとんどの悩みは人間関係から生まれているといわれます。
 問題の原因を「相手」にあるとし、相手が変わるべきだと思ってしまう人は、人間関係の悩みからなかなか抜け出すことができません。

 一方で、悩まない人は「相手」ではなく、相手との「関係性」に問題があると考えます。

 本書では、あおり運転をされたときの考え方として、相手があおり運転をやめるのを待つのではなく、どこかで一旦停車し、先に行かせることが相手との関係性を改善するために効果的だと紹介しています。

 もし、目の前に犬のフンが落ちていたら、ひょいっと避けますよね?
 それと同じで、自分の進路を変えるだけでいいのです。

 職場の嫌な人を犬のフンに置き換えたとしましょう。
 臭いが気になるなど実害があるじゃないかと思われるかもしれません。
 しかし、会社の人全員がこの犬のフンを臭いと思っているのでしょうか?
 自分だけの感覚で物事を判断するのではなく、他の人はどう思っているのかをまずはリサーチしてみましょう。

他人の価値観を尊重することで世界が変わる

 会社にいる嫌な人の振る舞いや存在自体は変わることはありません。
 しかし、嫌だなと思っているのは自分の解釈で、これはいくらでも変えることができます。

 自分は嫌だと思っていても、他の人が違う解釈をしていた場合、その人の考え方を身につけたほうが手っ取り早いし、嫌な人で悩む時間を減らせるので一石二鳥です。

 同じ出来事に対して、すごく不快に思う人がいる一方で、別になんとも思わない人がいるように、受け取り方次第で大きな差が出ます。

 自分とは違うとらえ方をしている人の考え方をインストールすることができたら、犬のフンも臭くなくなっていくわけです。

 最初から嫌な人だと決めつけ、嫌だと思っていない人にまで自分の考えを押しつけようとする人はいますが、その行為には何のメリットもありません。

 自分が嫌だと思っていることをまわりに理解してもらうより、人を不快に思わない能力を身につけるほうが、生きていくうえでははるかに有益です。

ストレスフリーな毎日を送るためのヒント

 仕事柄、私はよくタクシーに乗りますが、なかには不快な運転手さんもいます。

 でも、毎日のように乗っていると、その不快な態度に対して、ほぼ何も思わなくなりました。

 年配の運転手さんだと、耳が遠い人も結構いるので、行き先と全然違う方向に行ってしまうこともあります。

 以前はそういうちょっとしたミスに対して怒っていたのですが、今では「道、間違っていませんか?」と声をかけるくらいになりました。
 これも本書で紹介した30の思考アルゴリズムのおかげです。

 怒るのにもエネルギーがいるので、いちいち怒るほうが結局、損になってしまいます。

 時間は有限なので、不快な感情に惑わされる時間がもったいない。だったら、いっそこと、絶対怒らないでいようとか、逆に感謝されるくらいになろうとか、そこでも一種のゲーム化して楽しむようにしています。そうすると、悩まないどころか日々が楽しくなりました。

 道を間違えたタクシーの運転手さんには下りるときに「お疲れなんじゃないですか? お疲れのところ無事届けてくれてありがとうございます。少ないですがお釣りはとっておいてください」と言って、逆に相手を喜ばせようとしています。

 ぜひ、みなさんも試してみていただけたらと思います。

(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による特別投稿です)