警察装備機材で培った開発力から生まれた純国産「熊撃退スプレー」が話題に「熊撃退スプレー」。本番でスムーズに使えるよう、練習用スプレーも。持ち運び用のベルトホルダーも環境に配慮

 クマ撃退用のスプレーについても、警察からの要請などを受け、以前から輸入品の販売は手がけていたものの、「供給不安や円安による価格高騰などが課題となっていました」と後藤氏。

 自社開発に向けて模索を続ける中、約3年前、同社の工場がある岐阜県飛騨市で、原料となるカプサイシンエキスを手がけるメーカーと出会ったのを機に、開発に乗り出すこととなる。

 とはいえ、経験も知見もない分野で、かつカプサイシンエキスという刺激物を扱うため、「当初は協力会社の開拓に苦労しました」と振り返る後藤氏。

 全国を奔走し、スプレー容器構造や充てんするガスなど、多くの企業からの協力を得て、約2年をかけて開発に成功。当初は販路に苦戦したものの、防災、防犯・セキュリティー関連の製品・サービス向けの「危機管理産業展」への出展を機に注文が殺到し、初回製造分は警察や自治体向けにほぼ完売した。

長い飛距離、長時間噴射で
遠くからでもクマを撃退

 クマの出没が加速度的に社会問題化する中、主成分の安定供給を得て、26年4月から受注を再開している。

警察装備機材で培った開発力から生まれた純国産「熊撃退スプレー」が話題に“炎”の再現性と省電力にこだわったLED発炎灯の「ピカッ太」。そのクオリティーが評価され、今や全国の各高速道路交通警察隊で幅広く導入。特に北海道では吹雪対策で効果を発揮

 輸入品の性能を上回ることを目標に開発された同製品の特徴は、飛騨産トウガラシを使用した国産品という安心感に加え、特殊な高圧ガスを採用することで10mという長い飛距離、10秒間の長時間噴射を実現。地球温暖化係数(GWP)の低さとオゾン破壊係数(ODP)はゼロなど環境性能にも優れている。

「登山者や地域のインフラを支える事業者さまなど、民間向けにも供給を拡大しています」と後藤氏は言う。

 また、同社では製品を提供するだけでなく、イベント警備に際する人員手配や搬入・設営についても、ワンストップで担えるのが強みとなっている。

「今後も『製品を通じて次世代の安全を創造する』という創業以来のミッションに基づき、警察機関向け事業で培った技術力を基に、幅広いニーズにお応えできる製品開発を進めていきたいですね」と語る後藤氏。ものづくりにこだわる同社から生まれる、日々の安全を守る画期的な製品に期待したい。

(取材・文/大沢玲子、「しんきん経営情報」2026年8月号掲載、協力/興産信用金庫

事業内容:防犯・警備装備資機材の製造、販売、レンタル
従業員数:23人
売上高:15億6000万円(2026年3月期)
所在地:東京都千代田区外神田6‐5‐3
電話:03‐5816‐2755
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