「まわりと自分を比べては、いつも落ち着かない気持ちになる」――その原因は、競争の緊張が脳を消耗させ続けているからかもしれない。米国在住の精神科医・久賀谷亮氏の著書『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』には、ハーバード大学が75年間追跡した調査が示す「幸福度を高める因子」も書かれている。著者のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

競争で疲れた脳を癒す方法・ベストワンPhoto: Adobe Stock

競争心が脳を消耗させる

――受験や仕事で競争によって評価が決まることが多いですし、私たちは他の人と自分を比べてしまいがちです。これが脳を疲労させる原因にもなっているのでしょうか。

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):はい。人間は競争する生き物であり、どこかで自分が優位に立ちたいと常に思ってしまうものです。しかし、「競争に負けたくない」という気持ちほど、脳を疲弊させるものはありません。勝っても負けても、競争の緊張状態が続く限り、脳のエネルギーは際限なく消耗されていくのです。

――では、どうすればその疲労を和らげることができるのでしょうか。

久賀谷:鍵となるのが、人とのつながりです。レジリエンス(心の復元力)を高める要素として非常に重要で、他者とのつながりは、幸福度にとっても大きな意味を持つことがわかっています。

幸福度を高めるのは、人とのつながり

久賀谷:ハーバード大学で75年間にわたって行われた有名な調査があります。それによれば、幸福度を高めた因子は、健康の度合いや経済的な豊かさなどよりも「人との良好で安定したつながり」だったそうです。このつながりは記憶機能や寿命にもプラスに作用したことがわかっています。

――健康やお金よりも、人間関係が幸福度に寄与するのですね。

久賀谷:ええ。さらに興味深いのは、これまで疎遠になっていた人に連絡を取ることにも、プラスの影響が見込めるという点です。久しぶりの友人に一言メッセージを送るだけでも、脳にとってポジティブな刺激になります。

競争より「つながり」が脳を癒やす

――競争に勝とうとするよりも、人間関係を大切にするほうが、脳にとっては良さそうですね。

久賀谷:その通りです。競争して相手を打ち負かそうとするのではなく、自分から歩み寄ってつながりを取り戻す。それこそが脳と心を癒やし、自分自身を真の幸福に導く方法なのです。マインドフルネスを通じてエゴや自己へのとらわれを手放すことは、他者との良好な関係にも自然につながっていくことでしょう。他者に対して愛情や感謝の気持ちを育てる「メッタ(慈悲の瞑想)」も、その実践例のひとつです。『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』には、「メッタ」をはじめとしたマインドフルネスのガイダンス音声が聞けるQRコードも掲載しています。競争に疲れたときは、気軽に試してみてほしいですね。