「同じ失敗をしても、すぐ立ち直れる人と、いつまでも引きずってしまう自分がいる」――その違いは、性格ではなく脳の使い方にあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と実践法を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、ストレスから立ち直る力「レジリエンス」を後天的に鍛える方法も書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
レジリエンスの高い人は楽観的
――仕事や人間関係で大きなストレスを受けたとき、そこから立ち直れる人と、心が折れてしまう人がいます。この違いは何なのでしょうか?
久賀谷亮氏(以下、久賀谷):「レジリエンス(復元力)」の高さが鍵です。
レジリエンスとは、負荷によって変形させられた物質が、元の形に戻ろうとする力のことです。ストレスに対処し、自らの精神を立て直す「しなやかな心」と言ってもいいでしょう。
――レジリエンスは生まれつきのものですか? それとも鍛えられるのでしょうか?
久賀谷:レジリエンスは後天的に培い、強化することができます。
ポイントのひとつは「楽観性」です。物事を楽観的に考えることで、脳の前帯状皮質の活動が変化し、ストレスに強くなることが報告されています。
人とのつながりがストレスを和らげる
――ほかにはどのような方法がありますか?
久賀谷:「ソーシャル・サポート」、つまり「人とのつながり」です。
人との持続的かつ広範なつながりや、同じ境遇にある人との支え合いがあると、ストレスホルモンを生み出す系(視床下部-下垂体-副腎系)が抑制されるというデータがあります。
職場での良好な人間関係や、家族・友人との定期的なコミュニケーションが、脳のレジリエンスを高めることにもつながるのです。
――マインドフルネスもレジリエンスの強化に関係しているのでしょうか?
久賀谷:大いに関係しています。強いストレスを受けても心が折れないマウスの脳を調べたところ、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の主要部位である「内側前頭前野」と、報酬系を司る部位との連結が強化され、脳内のバランスを取り戻す機構が働いていました。内側前頭前野は、まさにマインドフルネスが作用する場所でもあります。
マインドフルネスで「しなやかな脳」をつくる
――マインドフルネスによって、ストレスに強い脳をつくることができるのですね。
久賀谷:その通りです。日常で直面するトラブルの多くは、「これからどうなるのだろう」という将来への不安で水増しされています。
目の前のトラブルそのものよりも、心が「いまここ」にないことがストレスを増大させているのです。マインドフルネスを通じて「いまここ」に意識をフォーカスする力を養えば、不要な不安を取り除き、本来のレジリエンスを発揮できるようになります。



