「忙しくなると決まって肩が凝り、胃が痛くなる」――その原因は、体そのものではなく、脳のバランスの崩れにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、緊張した身体をゆるめる「ブリージングスペース」の3ステップも書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)
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ストレスは脳から身体に現れる
――仕事などで強いストレスを感じると、肩こりや胃痛、全身のだるさなど、身体に不調が現れることがよくあります。これは脳とどう関係しているのでしょうか。
久賀谷亮氏(以下、久賀谷):ストレスは脳内の現象ですが、慢性化すると身体にさまざまな影響を及ぼします。通常、人間の理性にあたる前頭葉が、感情や本能を司る扁桃体をコントロールしていますが、過度なストレスがかかるとこのバランスが崩れます。その状態が続くと、自律神経やホルモンを介して、肩こりや胃痛、全身のだるさといった身体の不調として現れるのです。
――マインドフルネスは、こうした身体の不調にも効くのでしょうか?
久賀谷:はい。交感神経を鎮める作用があるのはもちろん、前頭葉と扁桃体の関係を改善する効果が認められています。 それだけではありません。マインドフルネスの立役者といわれるジョン・カバット=ジンは、慢性の痛み、乾癬、更年期の症状であるホットフラッシュ、線維筋痛症などさまざまな身体の問題にマインドフルネス・ストレス低減法が有効だと主張しているくらいです。脳の状態を変化させることで、間接的に身体の問題を解決することができるのです。
身体の緊張をとるマインドフルネス
――体の不調を和らげるマインドフルネスの手法をひとつ教えてください。
久賀谷:ストレスで緊張した身体をゆるめる「ブリージングスペース」という休息法を紹介しますね。これは3つのステップから成り立っています。 第1ステップは「ストレスの影響に気づく」ことです。椅子にゆったり座るか横になって、ストレスの原因になっていることが思い浮かんだときの身体の反応を観察します。「私は仕事が終わらず焦っている」のように1つの文にするとわかりやすいでしょう。その文を心の中で唱えたとき、身体がどう反応するか、どこが緊張しているかを確認してみてください。
――ストレス要因を忘れようとするのではなく、客観的に見るのですね。
久賀谷:第2ステップは「呼吸に注意を向ける」ことです。過去の失敗や未来の不安に向かっていた意識が、「いまここ」に戻ってくることができます。呼吸に意識を向けるとともに、身体の緊張がほぐれていくはずです。そして第3ステップで「意識の向かう先を身体全体に広げる」のです。身体全体が呼吸をしているイメージを持つのがコツです。緊張している身体の部分があれば、息を吸い込むときに、そこに空気を吹き込むようにイメージしてください。
続けることでストレスの捉え方が変わる
――ストレス要因が変わっていなくても、身体の緊張がほぐれれば捉え方が変わりそうですね。
久賀谷:その通りです。一度試すだけでも緊張がほぐれる感覚は得られますが、マインドフルネスは脳の構造そのものを変えていくため、続けることでストレスの捉え方そのものが変わっていきます。「これはまずい」とパニックになっていたようなことも、フラットに受け止められるようになっていくのです。ストレス由来の肩こりや胃痛が慢性化していると感じている方は、ぜひ日常の習慣に取り入れてみてください。



